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2011 年度 実施状況報告書

内耳感覚細胞の発生、分化と再生機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23592485
研究機関香川大学

研究代表者

董 有毅  香川大学, 医学部, 助教 (90457341)

研究分担者 徳田 雅明  香川大学, 医学部, 教授 (10163974)
山口 文徳  香川大学, 医学部, 准教授 (40271085)
神鳥 和代  香川大学, 医学部, 助教 (40457338)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードInner ear / Differentiation
研究概要

内耳感覚上皮細胞の発生・発達・分化を細胞周期関連蛋白質との関連からとらえる研究が進みつつある。内耳の前駆細胞が増殖サイクルから外れる時に細胞周期関連蛋白質であるCyclin-dependent kinase inhibitorのp27Kip1の発現が上昇していることが報告され注目された。我々の研究は、イノシトールリン脂質であるホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸(PtdIns(3,4,5)P3)の脱リン酸化反応を触媒する酵素であるPTEN(Phosphatase and Tensin Homolog Deleted from Chromosome 10)がマウス内耳の有毛細胞と感覚神経の分化が開始する胎生14日の内有毛細胞と外有毛細胞の両方において特異的かつ急激に発現が始まり、分化の終了した生後7日の内有毛細胞と外有毛細胞では完全に消失していることを発見し、PTENが分化のシグナルに関わる重要な蛋白質であることを報告した。このように有毛細胞が分化している時のみ発現する機能蛋白の報告は初めてのことである。内耳のVOT-E36細胞培養では、PTENは分化状態である(39C°分化状態)の有毛細胞に発現することを認められた。 この分化状態は有毛細胞のマーカー、ミオシンVIIaによって確認された。 多機能のActin-bundling proteinであり不動毛の機能に関与しているEspinはVOT-E36細胞培養の細胞の分化に伴い発生する不動毛に発現されることが認められた。また、転写因子EGR1 (Early growth response protein 1)がマウスの分化の有毛細胞に(E17)発現されることを初めて発見した。 次に、我々はPTENの上流と下流のシグナル伝達経路を調べることを目的とすることを予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

内耳発生は、プラコードと呼ばれる感覚上皮前駆細胞の誘導から始まり、種々の因子によって複雑な調節を受ける。プラコードが陥凹し耳胞と呼ばれる嚢状の構造となり、背側は平衡覚を司る前庭・半規管へ、腹側は聴覚を担う蝸牛へと形態形成が進む。本研究の目的は、内耳発生に重要な感覚細胞の発生、発達と分化のメカニズムを操作して、今まで不可能といわれてきた内耳有毛細胞(内耳感覚上皮)の再生を実現し、内耳障害がほとんどを占める感音難聴のあらたな治療方法を確立する糸口を掴むことである。我々は内耳の発生において、PTENの役割を調べるために、大量の実験をやっている。PTENの発現がマウスの内耳の分化中の有毛細胞の部位であることが分った。 PTENの機能がマウスの内耳の有毛細胞の分化を調節することを報告した。 また、PTENの発現が分化中のVOT-E36細胞に起こることも判った。EGR1は分化のVOT-E36有毛細胞に染まった。このように有毛細胞が分化している時にEGR1の発現は初めてのことである。

今後の研究の推進方策

内耳感覚上皮の有毛細胞の再生を成功し、感音難聴の根本的な治療を確立する一つの方法として、内耳感覚上皮の発生を再現する方法が考えられるが、その発生過程が詳細に解析されている網膜などと異なり、内耳感覚上皮の発生についてこれまでに得られている知識はごくわずかなものである。本研究では、内耳感覚上皮の発生過程を分子レベルのメカニズムで完全に解明することにより、これまで困難とされてきた内耳感覚細胞の再生を実現することを目的とする。この実験では、発生の内耳のPTENの詳しい発現パターンを見つけ、PTENがマウスの内耳の有毛細胞の分化の役割ことを報告した。 更にPTENの上流と下流のシグナル伝達経路をめざす。すなわち、どのような蛋白質が内耳の感覚細胞の発生、発達と分化を調節するかについて詳細に調べる。また、いろいろな分化ステージの内耳をチェックして、内耳感覚上皮の発生過程中においてEGR1などの機能性蛋白質の発現パターンを確認する。さらに、これら研究の結果は国内、国際会議での発表と関連のジャーナルで論文化することを予定している。

次年度の研究費の使用計画

PTENシグナリングに関連する生化学的・免疫化学的分析のために抗体と化学試薬を買う予定している。また、多量のデータ処理を行うために、パソコンの購入を予定している。研究のデータを国内および国際会議に参加発表し、論文として出版する費用に充てることを計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Role of PTEN in the development of auditory system2012

    • 著者名/発表者名
      Youyi Dong
    • 学会等名
      The 89th Annual Meeting of the Physiological Society of Japan
    • 発表場所
      Matsumoato, Nagano
    • 年月日
      2012. 03. 29-31
  • [学会発表] PTEN regulates the proliferation and differentiation of inner ear2011

    • 著者名/発表者名
      Youyi Dong
    • 学会等名
      The 7th Congress of the Federation of Asian and Oceanian Physiological Societies
    • 発表場所
      Taipei, Taiwan
    • 年月日
      2011.9.11-14
  • [備考]

    • URL

      http://www.kms.ac.jp/~physiol1/index.html

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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