我々は、TNF-αとレチノイン酸とともに中耳粘膜細胞を培養することによって多数の杯細胞を誘導する炎症性杯細胞化生モデルを確立している。この系でMath1を遺伝子導入すると、さらに多くの杯細胞を誘導することができることから、Math1は炎症による杯細胞化生においても中心的な役割を果たしていると考えられる。また、Math1の活性化は表皮成長因子受容体のチロシンキナーゼ阻害剤(AG1478)により有意に抑制された。さらに、AG1478によってMath1を不活化すると、TNF-αとレチノイン酸を投与しても杯細胞化生が起きなかった。以上より、Math1の制御によって杯細胞化生が抑制される事が示された。
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