研究課題/領域番号 |
23592492
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
吉田 尚弘 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90291260)
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研究分担者 |
飯野 ゆき子 自治医科大学, 医学部, 教授 (30108534)
日高 浩史 東北大学, 大学病院, 講師 (40302103)
金沢 弘美 自治医科大学, 医学部, 助教 (40570643)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 好酸球性中耳炎 |
研究概要 |
好酸球性中耳炎は、粘性の極めて高いニカワ状の中耳貯留液を特徴とし、中耳貯留液、粘膜には多数の好酸球が浸潤する難治性中耳炎である。本研究では、モルモット、マウスを実験動物として用いて、好酸球性中耳炎の中耳貯留液、粘膜に高濃度に存在する好酸球誘導サイトカイン、産物であるIL-5, Eosinophil Cationic Protein(ECP)、eotaxin、ロイコトルエン(LT)、PAFなどの好酸球遊走因子を外リンパ灌流することによる急性内耳障害、および耳管、骨胞経由に慢性的に内耳へ投与し経時的な聴覚閾値変化を測定し内耳障害の詳細を明らかにする。本年度は研究計画に則ってモルモットを用いて外リンパ灌流、および購入した涙道内視鏡を用いた薬物投与により急性内耳障害の電気生理学的特性変化の解析を行った。好酸球性中耳炎の中耳貯留液、粘膜に高濃度に存在する好酸球誘導サイトカイン、産物であるIL-5, Eosinophil Cationic Protein(ECP)、eotaxin、ロイコトルエン(LT)、PAFなどの好酸球遊走因子を外リンパ灌流するためのシステムを構築した。4kHz~32kHzの周波数帯域の音刺激についてCompound action potential:CAPを安定して測定する実験系を確立したが、微量な物質の低濃度灌流では変化が見られず、高濃度に投与するための灌流システムの改良に時間を要した。IL-5, Eosinophil Cationic Protein(ECP)、eotaxin、ロイコトルエン(LT)、PAFの低濃度投与では大きなCAP変化は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モルモットを用いて4から32kHzの純音刺激による蝸牛機能(Compound action potential:CAP)する測定システムを構築し、 Eosinophil Cationic Protein(ECP)、eotaxin、ロイコトルエン(LT)、PAFなどの好酸球遊走因子を外リンパ灌流、耳管経由に内耳へ投与した。 Eosinophil Cationic Protein(ECP)、eotaxin、ロイコトルエン(LT)、PAFなどを外リンパ灌流したが、低濃度灌流ではCAP変化が見られなかった。原因として、1)分子量が大きく外リンパ灌流されにくい、2)薬物自体の効果が乏しい ことが考えられた。そのため微量な物質を高濃度に外リンパへ投与するための灌流システムの改良を行った。一方、好酸球性中耳炎の新たな治療薬として期待される抗IgE抗体であるオマリズマブの投与法の予備実験を行い鼓室内投与による急性の内耳障害はない可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に引き続き急性内耳障害の電気生理学的特性変化の解析を行う。好酸球性中耳炎発症に関与するとされる好酸球誘導サイトカイン、産物であるIL-5, Eosinophil Cationic Protein(ECP)、eotaxin、ロイコトルエン(LT)、PAFなどの好酸球遊走因子を外リンパ灌流することによる急性内耳障害、および耳管、骨胞経由に慢性的に内耳へ投与し経時的な聴覚閾値変化を測定する。さらに急性内耳障害の結果をふまえて、慢性内耳障害の研究を行う。モルモットを用いて早期に生じてくる高音域の閾値変化を正確に測定するため、モルモットの骨胞に小孔を開窓し、蝸牛正円窓から約2ミリ離れた部位に銀電極を固定し、ほぼawakeの状態でCompound action potential (CAP)の閾値測定を行う。中耳腔に急性実験の結果をふまえて特に内耳障害の変化が見られたEosinophil Cationic Protein(ECP)、eotaxin、PAFについてさらに慢性的な投与を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
外リンパ灌流システムの改良に伴って平成23年度未購入のペリスタルティックポンプ関連の灌流装置、薬物投与器財、さらに実験動物(モルモット、マウス)、試薬、抗体類、記録用光磁気媒体、および学会発表、研究打ち合わせのための経費として使用予定である。
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