研究課題/領域番号 |
23592492
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
吉田 尚弘 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90291260)
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研究分担者 |
飯野 ゆき子 自治医科大学, 医学部, 教授 (30108534)
日高 浩史 東北大学, 大学病院, 講師 (40302103)
金沢 弘美 自治医科大学, 医学部, 助教 (40570643)
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キーワード | 好酸球性中耳炎 |
研究概要 |
平成25年度は、好酸球の関与する因子のうち内耳障害への関与の示唆されたEosinophil Cationic Protein(ECP)を中心としてeotaxin、 IL-5などの好酸球遊走因子との相互作用を検討した。高濃度のEosinophil Cationic Protein(ECP)が好酸球性中耳炎内耳障害に関わっていることが前年度の研究より示唆されたため、ECPとeotaxin, IL-5などを組み合わせて投与した際の変化を検討した。急性内耳障害、および耳管、骨胞経由に慢性的に内耳へ投与し経時的な聴覚閾値変化はECPにより数日間以降でABRの閾値上昇を認め、主として内耳障害によるものも考えられたが中耳粘膜にも炎症性変化、中耳炎が惹起されその閾値上昇は伝音、感音両成分によるものと考えられた。中耳の炎症所見の軽減を目的として好酸球浸潤の抗IgE抗体(オマリズマブ)を投与した上でさらにECP投与を行うと中耳粘膜の炎症性変化が抑制される傾向が見られたたことから、ECPとIgEの相互作用が中耳、内耳障害に生じている可能性が示唆された。一方で抗IgE抗体を鼓室内に投与あるいは外リンパ灌流し影響を検討したところコントロール側と比してもABRの閾値上昇はみられず、内耳障害は低いものと考えられた。今後、好酸球性中耳炎患者に対するヒトへの臨床投与の可能性が示唆された。さらに加齢性変化に対する効果を検討するためマウス、モルモットのモデル動物作成を検討した。マウスの小さな骨胞に対する操作に対して手技を工夫するのに時間を要したが、明らかな両者の系統の違いによる好酸球遊走因子の作用の電気生理学的相違は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
加齢マウスに対する遊走因子の易受傷性の変化、好酸球遊走因子の作用の手技、モデル動物作成の予備実験に時間を要した。さらに、抗IgE抗体の好酸球遊走因子に対する効果が認められ実験を追加した。
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今後の研究の推進方策 |
加齢性変化に対する効果を検討するためCBAマウス、およびC57/BL6マウスを用いて加齢に対する遊走因子の易受傷性の変化、好酸球遊走因子の作用の組織学的検討を行い、さらに、抗IgE抗体の好酸球遊走因子に対する効果の確認実験、モデル動物作成を行う。25th Congres of European Rhinologic Societyで発表し、本研究の総括をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度にEosinophilic cationic protein (ECP)による外リンパ灌流による内耳障害機序の検討にて電気生理学的、組織学的検討での単独の物質の効果で有意差が低い一方で、複数の遊走因子では相互作用および抗IgE抗体の効果がが認められた。計画の一部を変更し、抗IgE抗体と好酸球性中耳炎モデル動物の検討、マウスの加齢変化に対する検討を行うこととしたため未使用額が生じた。 抗IgE抗体と加齢変化の異なるマウス、好酸球性中耳炎の免疫組織学的検討を加え、国際学会(25th Congress of the European Rhinologic Society)でのシンポジウムの発表、論文発表の経費として使用予定している。
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