研究課題/領域番号 |
23592493
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
竹腰 英樹 国際医療福祉大学, 大学病院, 准教授 (10302738)
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研究分担者 |
加我 君孝 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (80082238)
渡邊 雄介 国際医療福祉大学, 大学病院, 准教授 (00324757)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 骨導補聴器 / 超磁歪 / 磁気コイル / 出力 |
研究概要 |
目的:超磁歪式骨導振動子と磁気コイル式骨導振動子を用いたハイブリッド骨導補聴器の試作器を作成し、その出力を測定することである。方法:(1)試作器の作成:試作器は、磁気コイル式骨導振動子と超磁歪式骨導振動子を使用して作成した。(2)試作器の骨導最大出力を測定するため、アンプの出力を最大に設定し、信号発生機を直接アンプの外部入力端子に接続。ブリューエルケアー社製人工マストイド、RION社製振動測定装置を用いて出力を測定した。測定周波数は、250Hz~8,000Hで行い、磁気コイル式骨導端子、超磁歪式骨導端子の出力を測定し、高調波歪率5%以下の限界入力値を計測した。結果:(1):試作器は、磁気コイル式骨導振動子としてOticon社製BC462、超磁歪式骨導振動子としてフレェイ社製BCHS-FT002を使用し、フレイ社製のアンプを用いて外部入力として補聴器をHB-G7PAを使用して作成した。(2)試作器の出力は、3000Hzを境に低音域では磁気コイル式骨導端子の出力が10~15dBHL大きく、高音域では超磁歪式骨導端子の出力が6~8dBHL大きいことが示された。考察:外耳道閉鎖症、耳漏の継続する慢性中耳炎など伝音難聴に対し気導補聴器が装用できない症例に対し骨導補聴器が適応となる。しかし従来ある磁気コイル式骨導振動子の性能から出力に限界があり、特に高音域での出力が弱く気導補聴器と比較して言葉の聴き取りが悪いとされている。この弱点を補うため、骨導振動子の振動を直接頭蓋骨に与える埋め込み型骨導補聴器が世界で行われるようになり現在約7万人が装用している。しかし手術が必要であり、感染などの術後トラブルも少なくない。今回作成した試作器では3000Hzを境に低音域では磁気コイル式、高音域では超磁歪式骨導端子の最高出力が大きいことがわかった。経皮的に高音域の出力が出せる骨導補聴システムを作成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試作器を用いて、ボランティア10人を対象に音場での音感テストなど音楽テストを行い、気導補聴器や磁気コイル式骨導補聴試作器とを比較検討することができていない。これは試作器の開発、出力測定に時間を要したからである。
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今後の研究の推進方策 |
1)調整された試作器を用いて、ボランティア10人を対象に音場での音感テストやポルタメント唱法など音楽テストを行い、気導補聴器と骨導補聴試作器とを比較検討する。(1)疑似的な中等度難聴を作成したボランティアを対象に音場でのヒト可聴周波数での音感テストを、補聴器非装用、磁気コイル式骨導端子装用、試作器装用で行い測定値を比較検討する。(2)疑似的な中等度難聴を作成したボランティアを対象に音場でのポルタメント唱法を行う。ポルタメント唱法とは発声においてある音から他の音に移る際、ピッチを連続的にずらしながら移行する方法であり、自分の声を聞きながら発声を調整しなくてはいけない。骨導聴力は、通気導聴力と異なるために、通常の発声コントロールに比べ違和感が生じる。補聴器非装用、磁気コイル式骨導端子装用、試作器装用で唱法を行い、音声分析器を介して測定値を分析し比較検討する2)作成・調整された骨導補聴試作器を、中等度難聴30症例を対象に試し装用効果を従来の骨導補聴器と比較検討する。(1)同意を得られた中等度難聴成人症例を対象に各検査を施行する。(2)オージオメータAA-78(リオン社製;施設に配置済)を用いて、純音聴力検査、57-S語表による語音聴力検査を行う。また、音場スピーカによる補聴器適合検査(施設に配置済)を行い、スピーカのみ、従来の骨導補聴器、試作器装用下によるデータを収集する。(3)日常生活で従来型骨導補聴器または試作器を使用してもらい、その装用効果を聴覚障害関連心理的評価(HHIE)、Speech, Spatial and Qualities of hearing scale(SSQ)を用いて評価する。3)研究の成果を国内外の研究会、学会にて発表し、国際ジャーナルに投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)さらに高出力で小型化するために試作器を開発する費用、(2)研究・開発のための消耗品費、(3)研究のための文献コピーや参考書の費用、(4)試作器を試聴してもらう参加者への謝礼費、(5)研究に対する情報収集や発表のために国内外学会参加のための渡航費、(6)英文ジャーナルに研究内容を発表するための英文校正などの費用、などに研究費を使用します。
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