研究課題/領域番号 |
23592495
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
神崎 晶 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50286556)
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キーワード | 破骨細胞 / 耳小骨 / 難聴 |
研究概要 |
今までヒト耳小骨における破骨細胞に関する解析はほとんどなかった。中耳疾患と中耳発生における耳小骨の破骨細胞の数と局在に関する解析に向け、これまでさまざまなノックアウトマウスあるいはトランスジェニックマウスで得られたデータに基づき、ヒト耳小骨における解析を行った。 ご遺体から得られた耳小骨を正常コントロールとして、真珠腫性中耳炎、耳硬化症患者の手術で摘出された耳小骨を用いて、耳小骨内の破骨細胞の発現について検討を行った。いずれも慶応義塾大学医学部倫理委員会の承認を得た上で、当該患者に同意を得て行われた 。カテプシンKと呼ばれる破骨細胞から特異的に出される酵素に対する抗体を用いて破骨細胞の存在を確認した。真珠腫性中耳炎のキヌタ骨、ツチ骨、耳硬化症のアブミ骨では健常のご遺体の耳小骨と比較してカテプシンK免疫複合体が確認され、統計学的に有意に破骨細胞の増加を認めることを確認した。従来まで耳小骨が溶解することはわかっていたが、破骨細胞の有無を患者献体で観察することは渉猟しうる限りではなかった。これらの結果は、上記疾患において破骨細胞数を抑制させることで難聴を予防することが可能であることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究申請書に書かれた通りに進行している部分もあるが、本年度も破骨細胞におけるマーカーの検索には時間と研究費が予想以上にかかってしまった。しかし、試行錯誤の結果、耳小骨においてカテプシンKが破骨細胞を反映するマーカーとして実用的であることが解明できたことは大きな意義がある。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト献体数を積み重ねて検討していきたい。ただし、ヒト症例では健常(対照群)の耳小骨が入手しにくいことがあり、再度動物実験で検証した方が良いと考えている。マウス中耳炎モデルでもカテプシンK定量を行って行きたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた破骨細胞におけるマーカーの検索が予定よりも遅れたため。また、未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。 破骨細胞マーカーであるカテプシンKと蛍光マーカーが共発現するマウスを用いて実験計画を遂行する予定であったが、マウスの搬入が遅くなったため延長した。 翌年度の使用として、マウス耳小骨と中耳、内耳骨包の発生を解明するために、マイクロCTを撮影・解析する必要があり、その費用などに充てたいと考えている。 上記マウスを用いて中耳炎モデル、中耳の発達などを観察したい。
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