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2012 年度 実施状況報告書

組織再生工学を利用した人工鼓膜および中耳粘膜の作製と癒着性中耳炎治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23592498
研究機関獨協医科大学

研究代表者

田中 康広  獨協医科大学, 医学部, 教授 (40266648)

キーワード再生医学 / 細胞・組織
研究概要

癒着性中耳炎もしくは中耳真珠腫の病態を解明するため、in situ tissue engineeringを利用して人工鼓膜および人工中耳粘膜を作製し、in vitroでの研究に応用することを現在試みている。採取した中耳粘膜は in vitroにて粘膜上皮細胞とfibroblastに分離培養し、これらの培養細胞を用いて単層の粘膜上皮ならびにコラーゲン内にfibroblastを混入させた粘膜下組織を作製し、上皮層および粘膜下層の2層からなる人工中耳粘膜シートを作製する。次に外耳道皮膚より採取したkeratinocyteを重層化させ、鼓膜上皮層にあたる鼓膜上皮シートの作製を行う。この鼓膜上皮シートと中耳粘膜シートが細胞外マトリックスを介し、表裏一体となるように融合させ、三次元人工鼓膜の作製を試みている。しかしながら、この鼓膜上皮シートと中耳粘膜シートの融合が困難であり、融合させたシートの解離や接合不全などの問題によって組織構築に関して苦慮している状況にある。これを改良すべく、上皮細胞シートを重層化する技術を応用して、人工鼓膜としての組織構築の安定化を第一に行う。光学的顕微鏡での組織構築が確認されのちに、この人工鼓膜の組織像を電子顕微鏡下に観察を行い、基底板の存在やtight junctionなどの細胞間接合を確認する。その後、免疫組織学的にinvolucrinおよびcaspase-14などの発現様式から上皮の分化、PCNAおよびKi-67による上皮増殖能について検討する予定である。更には作製した人工鼓膜を用い、各種サイトカインやケミカルメディエーターを作用させ、実験的に癒着性中耳炎の発症を誘導することを検討している。また、鼓膜陥凹の原因と癒着性中耳炎が進展する機序にはどのような因子が深く関与するのかについて分子生物学的な検討を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

三次元的な人工鼓膜の作製において粘膜上皮シートと中耳粘膜シートの融合が困難であり、融合させたシートの解離や接合不全などの問題によって組織構築に関して苦慮している。正常組織における鼓膜と類似した構造を構築できるよう作製方法の改良を行っている。

今後の研究の推進方策

人工鼓膜の作製において粘膜上皮シートと中耳粘膜シートの融合が困難であり、組織構築に苦慮している問題点に関しては、作製方法を改良すべく上皮細胞シートを重層化する技術を応用し、人工鼓膜の作製に取り組むことを計画している。

次年度の研究費の使用計画

人工鼓膜および人工中耳粘膜シートを作製するうえで必要な細胞培養にかかる材料費、免疫組織学的ならびに分子細胞学的手法にかかる試薬などを消耗品費として使用する。また本研究と関連する研究の情報収集や研究の成果を学会発表ならびに海外論文へ投稿する目的として旅費や論文投稿費などにも使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 組織再生工学を応用した中耳疾患の病態解明2013

    • 著者名/発表者名
      田中康広
    • 雑誌名

      耳鼻咽喉科・頭頸部外科

      巻: 85 ページ: 10-1

  • [学会発表] 鼓膜癒着症に対するcartilage tympanoplasty2012

    • 著者名/発表者名
      田中康広
    • 学会等名
      第22回日本耳科学会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      20121012-20121014

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公開日: 2014-07-24  

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