研究課題/領域番号 |
23592499
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
谷口 雄一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30307475)
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研究分担者 |
岡部 正隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10300716)
辰巳 徳史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60514528)
宇田川 友克 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60328292)
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キーワード | 22q11.2欠失症候群 / FGF / Sprouty / Tbx1 / 内耳発生 |
研究概要 |
22q11.2欠失症候群は染色体欠失を原因とし複数の臓器の発生異常や奇形を特徴とする症候群で、その多くが難聴をきたし約10~30%程度に感音難聴が存在する。これまでの我々の研究成果からFGFシグナルの抑制因子であるSprouty遺伝子が本症の内耳形態異常に関与している可能性が高いと考えている。難聴モデルマウス(Spry1-/-;Spry2-/-;Tbx1+/-)の表現型をさらに追及することにより内耳形態形成に関与するさまざまな遺伝子シグナルのネットワークを知ることができ、さらに新しい治療の可能性につながることが期待できる。 まずSprouty1;2dko及びSprouty1;2dko;Tbx1+/-マウスの表現型を詳細に解析を行う為に、Sprouty1;2dkoマウス作製を開始した。paintfill法にてSprouty1;2dkoマウスではコントロールと比較して蝸牛が低形成であり、半規管の欠損も認めた。さらに卵形嚢、球形嚢を含めた前庭系は著明に拡大していた。さらSprouty1;2dko;Tbx1+/-マウスの作製に成功し、形態的により重篤な表現型を認めることを発見した。Sprouty1;2dkoマウスではPax2の発現は前方と後方に分離し背側の発現は消失していた。Dlx5はコントロールに比較し耳胞後方で発現が増強、拡大していた。Sprouty1;2dko;Tbx1+/-マウスではDlx5は耳胞後方でさらに発現が増強し、Pax2の発現は現弱していた。これらの結果、過剰なFGFシグナル及びTbx1のinteractionが耳胞上皮に影響を与えている可能性があると考えられた。また3次元再構築ソフトAmiraを使用して様々な解析を行った結果、胚を前額断で切片を作製して再構築する方法がもっとも適切であることがわかり、二次元では捉えることが出来なかった領域も詳細に解析が可能となった。Amiraを用いることでより正確な内耳発生遺伝子の三次元発現パターンを理解することが可能となり、今後の内耳発生研究に更なる応用が期待される。
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