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2011 年度 実施状況報告書

難治性副鼻腔炎におけるトランスフォーミング成長因子αの役割と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23592508
研究機関三重大学

研究代表者

石永 一  三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50335121)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードTGFα / MUC5AC / 好酸球性副鼻腔炎
研究概要

手術で採取したヒト鼻粘膜組織を用い、免疫組織化学で抗TGFα抗体にて蛍光免疫染色を行い、好酸球性副鼻腔炎患者においてTGFαが発現亢進しているか調べた。結果は慢性副鼻腔炎や対照患者の鼻粘膜に比して明らかにその発現亢進を認めた。 次に、ルシフェラーゼアッセイ法を用いてにTGFα刺激によるムチン遺伝子発現亢進の有無を測定した。これはHM3-MUC5AC細胞を用いて行った。結果は明らかにMUC5AC遺伝子発現の亢進を示した。次にA549細胞を用いて定量的PCR法にて同様な現象が得られるか調べた。結果はルシフェラーゼでの結果と同様にTGFαがMUC5AC遺伝子発現を亢進していることが判明した。 次に好酸球性副鼻腔炎では他の炎症性サイトカインも亢進していることが知られており、その一つであるTNFαとTGFαとの共刺激によるMUC5AC遺伝子発現への影響も併せて調べた。結果は驚くべきことに相乗的に発現亢進させることを発見した。さらに、TGFαとTNFαの共刺激によるMUC5AC遺伝子発現の機序をルシフェラーゼアッセイ法を用いて検討した。結果はERKシグナリングが深く関与していることが判明した。最後にTGFαが蛋白レベルでもERKシグナルを活性化させているかも確認した。これはERKキナーゼアッセイ法を用いて行い、リン酸化がみられることを確認した。 これらの事からTGFαは好酸球性副鼻腔炎にて重要な役割を果たしており、特に深く粘液過分泌に関与していることが示唆された。本研究はPharmacolocgyに投稿し、掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

まず研究が順調に進み、第一報としてPharmacolocgyに投稿し掲載された。少なくても本研究でTGFαの培養細胞系での粘液産生における役割や細胞内シグナル伝達についてある程度解明できた。以上の点から当初の計画以上に順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

今後はまず好酸球性モデルマウスを作成し、TGFαの役割についてさらに検討を加えたい。 また培養細胞系の研究としては、これまではTGFαがムチン遺伝子・MUC5AC遺伝子発現を亢進させることは解明したが、粘膜下腺に多く分布するとされているMUC5Bへの関与の有無も併せて検討したい。 TGFαの細胞内の作用機序については、これまでERKシグナリングについて検討したが、他のシグナルが関与していないかも検討したい。

次年度の研究費の使用計画

マウスモデルの作成ならびに指摘条件検討のためのセッティング費用(マウスの購入、各種試薬の購入)、培養細胞系実験のための各種試薬の購入、また研究発表の為の旅費、これは海外の学会での発表も含む、論文作成にかかる費用が必要と思われる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The role of transforming growth factor―αon mucin overproduction in eosinophilic chronic rhinosinusitis2011

    • 著者名/発表者名
      Hajime Ishinaga
    • 雑誌名

      Pharmacology

      巻: 88 ページ: 302-308

    • DOI

      10.1159/000333794

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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