研究課題/領域番号 |
23592511
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡野 光博 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60304359)
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研究分担者 |
假谷 伸 岡山大学, 大学病院, 講師 (10274226)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 好酸球性鼻副鼻腔炎 / サイトカイン / 黄色ブドウ球菌 / 好酸球 |
研究概要 |
本年度は、当初の研究実施計画通り、(1)Danger signal様サイトカイン(IL-18、IL-33、HMGB-1)の好酸球性鼻副鼻腔炎における発現と機能、(2)IFN-γとIL-31の好酸球性鼻副鼻腔炎における発現と機能、(3)好酸球性鼻副鼻腔炎における炎症収束性アラキドン酸代謝物の好酸球性炎症の制御作用、(4)好酸球性鼻副鼻腔炎を解析するためのEx vivoモデルの開発を行い、以下の知見を得た。(1)IL-18は主に鼻茸および鉤状突起の上皮細胞に発現し、また一部の浸潤炎症細胞にも発現していた。IL-18の発現陽性細胞は鉤状突起に比較して鼻茸に増加していた。鼻茸分離細胞はプロテアーゼ刺激や壊死刺激によってIL-18を産生した。また鼻茸分離細胞の黄色ブドウ球菌エンテロトキシン刺激によるIL-5およびIFN-γ産生は抗IL-18中和抗体の添加により、有意に抑制された。IL-33は主に血管内皮細胞の核内に発現していた。(2)鼻茸分離細胞は黄色ブドウ球菌エンテロトキシン刺激により有意なIFN-γ産生を示した。一方、IL-31の産生は明らかではなかった。(3)鼻茸分離細胞の黄色ブドウ球菌エンテロトキシン刺激によるIL-5やIL-13等の好酸球性炎症関連サイトカインの産生はリポキシンやレゾルビンの添加によって有意な変化を認めなかった。(4)H23年度は、非スーパー抗原型の黄色ブドウ球菌外毒素であるαトキシンの作用を検討した。αトキシンは濃度および時間依存性に鼻茸分離細胞からのIL-5、IL-13、IFN-γ、IL-17Aの産生を誘導した。その作用はng/mlオーダーであればエンテロトキシンと同等であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H23年度は、大きく4項目の研究を計画していたが、いずれの研究も結果を集積しつつあり、概ね順調に進展している。一方、HMGB1についてはさらなる検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、平成23年度の研究を継続し、さらに好酸球性炎症や慢性炎症に関与すると思われるサイトカイン・アラキドン酸代謝分子(IL-22やプロスタサイクリンなど)に関しても検討を進める。菌体成分に関しては、特にαトキシンについて興味深い結果を得たので、H24年度には好酸球性鼻副鼻腔炎患者におけるαトキシン産生黄色ブドウ球菌の鼻腔内定着率を非好酸球性鼻副鼻腔炎患者を対照として検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の遂行に必要な設備は概ね研究代表者の研究室および共同実験室などの本研究施設に備えられており、研究費は主に消耗品費に用いる。また得られた成果を国内外の学会にて発表することを予定しており、旅費を計上している。
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