研究課題/領域番号 |
23592511
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡野 光博 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60304359)
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研究分担者 |
假谷 伸 岡山大学, 大学病院, 講師 (10274226)
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キーワード | 好酸球性副鼻腔炎 / サイトカイン / 黄色ブドウ球菌 / TLR / 自然免疫 |
研究概要 |
【背景】我々は好酸球性副鼻腔炎におけるEx vivoモデルとして、鼻茸分離細胞(DNPCs)の黄色ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)刺激による好酸球性炎症関連サイトカイン産生モデルを樹立し解析を行ってきた。これまでに、TLR4リガンドであるLPSの曝露はSEB刺激によるDNPCsからのIL-5、IL-13、IFN-γ、IL-17A産生を抑制することを報告した。しかしながら他のTLRの関与については不明な点が多い。そこで今回は、TLR3に注目し、TLR3リガンドであるPoly (IC)による好酸球性炎症関連サイトカイン産生の制御について検討した。 【方法】DNPCsをPoly (IC)にて前処置した後にSEBで刺激し、上清中のIL-5、IL-13、IFN-γ、IL-17Aを測定した。COX代謝やIL-10の関与を検討するために、ジクロフェナック(DIC)や抗IL-10抗体にてDNPCsを前処理した。 【結果】Poly (IC)の曝露はDNPCsからのSEB誘導IL-5、IL-13、IFN-γ、IL-17A産生を有意に抑制した。抗IL-10抗体の前処理はPoly (IC)によるサイトカイン産生の抑制を解除した。一方、DIC処理はIL-5、IL-13産生のみ解除した。 【まとめ】TLR3を介するシグナルは慢性副鼻腔炎における好酸球性炎症を制御し、その機構としてCOX代謝およびIL-10が関与することが示唆された。TLR3を用いた好酸球性副鼻腔炎に対する創薬展開が期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
創薬展開の点で、今回の結果は自然免疫系やIL-10が好酸球性副鼻腔炎の治療ターゲットとなりうることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
今回の結果ではIL-10が好酸球性副鼻腔炎の病態に抑制的に関与することが示唆された。引き続きIL-10の局所発現やIL-10の産生誘導物質や誘導メカニズムを解析し、創薬展開に繋げる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に主に試薬費に使用計画をしていたが、安く購入できたため残額が生じた。平成25年度にて試薬費や成果発表のための旅費への使用を計画している。
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