研究課題
好酸球性副鼻腔炎の病態形成におけるサイトカインネットワークの解明として、鼻副鼻腔粘膜におけるサイトカインの発現、好酸球性副鼻腔炎の外的因子とされる黄色ブドウ球菌外毒素や真菌抗原に対するサイトカイン産生、サイトカイン産生を制御する微生物コンポーネントやプロスタグランジンの解析を行った。サイトカインの発現については、自然免疫リンパ球の誘導にも強く関わるIL-18やIL-33の鼻茸における発現を免疫染色にて観察した。IL-18は主に上皮に発現していたが、浸潤炎症細胞にも発現していた。IL-33は上皮や浸潤炎症細胞に加え、血管内皮細胞にも発現していた。IL-18に関しては浸潤細胞での陽性細胞数とCTスコアおよび鼻茸浸潤好酸球数との間で正の相関を認めた。鼻茸細胞からのIL-18およびIL-33産生はプロテアーゼ刺激により誘導された。鼻茸細胞は黄色ブドウ球菌エンテロトキシンの刺激により、IL-5やIL-13などのTh2型サイトカインに加え、IFN-γなどのTh1型サイトカイン、さらにはIL-17AなどのTh17型サイトカインを産生した。中和抗体によってIL-18の働きをブロックすると、エンテロトキシンにより誘導される鼻茸細胞からのIL-5、IL-13、IFN-γの産生は有意に抑制されたが、IL-17Aの産生に関しては有意な変動を認めなかった。さらにサイトカインネットワーク成立のメカニズムヲ検討するために、衛生仮説に注目した。TLR4アゴニストであるLPSの前曝露はエンテロトキシンにより誘導されるIL-5、IL-13、IFN-γ、IL-17A産生を全て抑制した。この抑制作用は後曝露ではみられなかった。LPSの抑制作用はPGE2産生作用を介していた。鼻茸細胞をCOX阻害すると、LPS単独でもIL-5およびIL-13産生が誘導された。一方、その産生頻度や産生量はエンテロトキシンに比べ低かった。以上の結果より、黄色ブドウ球菌の外毒素、真菌抗原、TLRアゴニスト、プロテアーゼなどの微生物コンポーネントはサイトカインネットワークを活性化し、鼻茸の形成や難治化に関与することが明らかとなった。
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