研究課題/領域番号 |
23592518
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
高原 幹 旭川医科大学, 医学部, 助教 (50322904)
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研究分担者 |
長門 利純 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80431419)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 咽頭科学 / 口蓋扁桃 / 扁桃病巣疾患 / IgA腎症 |
研究概要 |
1.ホーミングレセプターを介した病巣へのT細胞の浸潤IgA腎症扁桃におけるTリンパ球上のケモカインリセプターについて検討した。CCR4、CCR5、CCR6陽性T細胞の割合は習慣性扁桃炎群、IgA腎症群にて変化は認められなかった。しかし、CXCR3の発現はIgA腎症群にて有意に高い結果となった。次にCpG-ODN刺激後のCXCR3発現の変化では、IgA腎症群にて有意に扁桃T細胞におけるCXCR3陽性細胞の割合が増強していた。2.IgA腎症扁桃におけるIgA過剰産生T細胞非依存的にB細胞を活性化させ、免疫グロブリン、特にIgAの産生を促すAPRIL(a proliferation-inducing ligand)について検討した。無刺激下では習慣性扁桃炎群もIgA腎症群も差は認められなかった。しかし、CPG-ODN刺激下では、習慣性扁桃炎群に比べ、IgA腎症扁桃群では有意にAPRILの産生亢進が認められた。次に、CpG-ODN刺激後のB細胞におけるAPRIL受容体(TACI:Transmembrane activator and calcium modulator and cyclophilin ligand interactor)の発現は、IgA腎症群において有意に亢進していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の科研申請において、無駄のない、かつ余裕を持った研究計画を提出した。そのため、途中で計画の変更がなくスムーズに計画を遂行できた。また、本研究は扁桃摘出術がないと検体が得られず、研究自体が滞るが、本年度は長年の演題発表や総説執筆などの効果が現れたのか、症例が増え、検体が得られる機会が増加した。
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今後の研究の推進方策 |
1.ホーミングレセプターを介した病巣へのT細胞の浸潤末梢血におけるT細胞上のCXCR3の発現を検討し、疾患群間で差があるかどうか検討する。さらに扁桃摘出術前後で測定し、手術後発現の低下が認められるかどうか検討する。さらに、腎生検組織を用い、腎糸球体浸潤CXCR3陽性細胞を検討し、その程度と扁桃でのT細胞上のCXCR3発現度に相関があるか検討する。2.IgA腎症扁桃におけるIgA過剰産生IgA腎症扁桃B細胞にてCpG-ODNと同時にAPRILも追加刺激し、IgAの産生亢進が認められるかどうかを検討する。また、IgA腎症扁桃リンパ球をCpG-ODNと同時にAPRIL受容体阻害抗体存在下で培養し、IgAの産生低下が認められるかどうかを検討する。さらに、末梢血における血清APRILを測定し、疾患群間で差があるかどうか、手術後産生の低下が認められるかどうか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
リアルタイムPCR試薬、各種抗体、磁気細胞分離システム、免疫染色関連試薬、フローサイトメトリー試薬、ELISA試薬、CpG-ODNなどの消耗品が主となる。本大学には上記の実験に必要な設備自体は整っており、消耗品費のみの経費で研究が遂行できると考える。
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