本研究では、喉頭麻痺によって障害された呼吸機能や耐運動能を回復させるための電気刺激の有効性と安全性について検討した。イヌ両側喉頭麻痺モデル動物を作成し、声門開大筋の表面に刺激電極を留置して、埋め込み型電気刺激装置に接続した。神経再支配が完了するまでは電気刺激で誘発される声帯運動が非常に小さかった。しかし、神経再支配が完了すると電気刺激で誘発される声門開大運動が大きくなり、正常とほぼ同等の運動が観察された。誘発される声門開大運動によって喉頭麻痺モデル動物の呼吸機能や耐運動能がほぼ正常の状態に回復した。長期間の電気刺激をおこなったが、誤嚥は誘発されず、筋線維の障害もほとんど観察されなかった。
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