研究課題/領域番号 |
23592520
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
志賀 清人 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10187338)
|
研究分担者 |
小玉 哲也 東北大学, その他の研究科, 教授 (40271986)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | ナノバブル / 腫瘍血管 / 分子導入 |
研究概要 |
本研究ではまず、マイクロバブル造影剤を用いた造影超音波を用いて、従来の画像解析よりも正確に血管の位置と密度を解析できる手法の確立をめざしている。23年度の研究では画像解析手法であるScale-Invariant-Feature-Transform (SIFT)およびPhase-Only- Correlation (POC)を用いて超音波画像の評価に不要な画像を消去もしくは補正して造影剤投与前後の輝度情報もしくは輝度情報の時間変化による分散値で高精度に血管情報を算出するアルゴリズムを作成し、micro-CTと比較して評価を行った。これをマウスおよびヒト臨床画像に適用すると、マウスの場合には動きノイズを検出し除去することに成功した。マウスの呼吸で生じる動きに伴う撮影断面のずれと特徴点検出数には相関があり、撮影断面のずれをSIFTで検出できた。しかし、臨床画像では嚥下などの動きがあることと、それを手動でプローブを用いて撮影していることから時間が経つに従って断面がずれていく結果が得られた。これは撮影断面の変化により、ずれフレームを除去した断面の固定が困難であったことに起因する。したがって撮影断面を固定するなど撮影条件を最適化することにより臨床応用も可能であると推測された。 臨床応用に関しては、我々が開発した画像解析ソフトを用いて、頸部転移リンパ節の造影超音波画像から得られた毛細血管再構築イメージから血管密度を計測することに成功した。これにより転移リンパ節では血管密度が転移の無いリンパ節に比べて明らかに高い事が判明し、現在カットオフ値の設定を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は大震災の影響で研究棟が使用できなくなったり、保存していた冷蔵庫、冷凍庫が停電で使用できなくなったことによってサンプルが失われたりと、研究開始が大幅に遅れた。 また、研究代表者である志賀が岩手医大に異動となったため研究室の整備などで時間がかかり、研究の進捗が遅延した。
|
今後の研究の推進方策 |
マイクロバブル造影剤を用いた超音波診断画像による癌病巣の血管構築をさらに進めて、2次元→3次元→4次元と画像解析を展開する。改良された画像解析ソフトを実際の超音波診断装置に搭載し、臨床応用が可能かどうかの検討を進める。 画像解析と平行してハイブリッド・ナノバブルの作成を進め、動物実験でその有効性、安全性を検証する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究費の多くが消耗品費として超音波造影剤の購入や実験動物(マウスなど)の購入に充てられる。旅費は研究打ち合わせや実験への参加のための研究室間の往復などに使用される。また、情報収集や成果発表用の旅費も必要である。実験補助のための謝金も使用予定である。
|