研究課題/領域番号 |
23592520
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
志賀 清人 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10187338)
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研究分担者 |
小玉 哲也 東北大学, その他の研究科, 教授 (40271986)
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キーワード | ナノバブル / 超音波診断 / 腫瘍血管 / 分子導入 |
研究概要 |
本研究 の当初の目的は、マイクロバブル造影剤を用いた造影超音波を用いて、頭頸部癌患者の頸部転移リンパ節内で従来の画像解析よりも正確に血管の位置と密度を解析できる手法の確立である。24年度の研究では前年までに開発できた画像解析手法であるScale-Invariant-Feature-Transform (SIFT)およびPhase-Only-Correlation (POC)を用いた血管情報を算出するアルゴリズムが使用可能となった。これを用いて超音波画像の評価に不要な画像を消去もしくは補正して造影剤投与前後の輝度情報もしくは輝度情報の時間 変化による分散値で高精度に血管情報を算出できたため、マウスでmicro-CTと比較して評価を行った。これをマウステールの血管描出およびに適用すると、マウスの動きノイズを検出し除去することに成功した。これによりCTと同等の血管画像解析が可能であることが示された。そしてマウスの呼吸で生じる動きに伴う撮影断面の ずれと特徴点検出数には相関があり、撮影断面のずれをSIFTで検出できた。 これまでヒト臨床画像では嚥下などの動きがあることと、それを手動でプローブを用いて撮影していることから時間が経つに従って断面がずれていくことが問題となった。これは撮影断面の変化により 、ずれフレームを除去した断面の固定が困難であったことに起因する。今回我々が開発した画像解析ソフトではSIFTや POCを用いることにより、このずれを最小まで軽減でき、これにより頸部転移リンパ節の造影超音波画像から得られた毛細血管再構築イ メージから血管密度を計測することができた。これにより転移リンパ節では血管密度が転移の無いリンパ節に比べて明らかに高い事 が判明し、またその血管も正常とは異なった形態を示し、血管像そのものから悪性を特定できる可能性も示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度は研究施設が使用できなかったこと、サンプルの喪失などの影響と研究代表者の岩手医大への異動などが重なったため研究開始が大幅に遅れをとった。 本年度はようやく研究施設の準備も整い、造影超音波画像診断のデータも取得開始できた。しかし、前年度の遅れがひびいて全体としては遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロバブル造影剤を用いた超音波診断画像による癌病巣の血管構築をさらに進めて、2次元→3次元→4次元と画像解析を展開する。この際、血管密度ばかりではなく、血管像の形態変化も検討し悪性所見の検出が可能かどうかについて研究を進める。また、改良された画像解析ソフトを実際の超音波診断装置に搭載し、臨床応用が可能かどうかの検討を進める。 画像解析と平行してハイブリッド・ナノバブルの作成を進め、動物実験でその有効性、安全性を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の多くが消耗品費として超音波造影剤の購入や実験動物(マウスなど)の購入に充てられる。旅費は研究打ち合わせや実験への参加のための研究室間の往復などに使用される。また、情報収集や成果発表用の旅費も必要である。実験補助のための謝金も使用予定である。
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