研究課題
頭頸部癌の克服を目的として、頭頸部癌のEMTによる悪性化と「幹細胞」誘導の連携に焦点を当て、責任分子の役割を明らかとする。頭頸部癌の悪性化を誘導する遺伝子を同定し、EMT誘導と癌幹細胞誘導の分子細胞生物学的な検討を行った。In vitro解析系を基に癌細胞悪性化に細胞生物学的解析を加えることで、頭頸部癌の悪性度を司る分子機構の解明を目指した解析を行った。癌細胞株を用いてポリコム遺伝子のうちBmi1, EZH, Znf277を発現させ、EMTに特徴的な生物学的特徴が誘導されることを検証した。第1に、頭頸部癌細胞株HSC-3,HSC-4等を対象としてポリコム遺伝子を発現させた。HSC-3およびFaDu細胞に対してレトロウイルスベクターで遺伝子を導入したところ、CD44が発現上昇し細胞間接着の変化が示唆された。一方、細胞形態の顕著な変化は観察できなかった。第2に、EMTが誘導されれば癌細胞の悪性度が増加するはずである。ポリコム遺伝子が新頭頸部癌の悪性化を惹起させか検証するため、頭頸部癌の癌幹細胞性誘導について解析した。その結果、Bmi1を導入した細胞では幹細胞マーカーであるALDHの陽性率が有意に上昇した。しかしながら、造腫瘍性や転移については有意な所見を認めなかった。以上の結果から、ポリコム遺伝子Bmi1の発現により、EMT様と考えられる細胞接着分子の発現変化とALDH1の誘導が一部認められたが、有意な造腫瘍性の上昇は認めなかった。
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