研究課題/領域番号 |
23592529
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
原 浩貴 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90274167)
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キーワード | いびき |
研究概要 |
昨年度に引き続き、鼻呼吸時および口呼吸時の上気道閉塞部位といびきの音響特性について研究を行った。呼吸様式の相違が上気道形態に及ぼす影響には、いくつかのパターンが存在する可能性が示唆され、これまでのところ、開口口呼吸が上気道形態を狭小化するもの、閉口のうえでの努力性鼻呼吸が上気道狭窄を誘発するもの、覚醒時の呼吸様式では上気道狭窄の変化が予想しにくいものの3パターンを推定した。これら3パターンにおける睡眠中の上気道形態の変化といびきの音源となりうる狭窄部位の推定のため、流体解析によるシミュレーションを用いて流速、陰圧等の変化を詳細に検討した。口呼吸による上気道形態の狭小化は、主として舌根の後下方移動にともなう中咽頭断面積の減少とベルヌーイ効果による咽頭粘膜の振動に由来する可能性が考えられた。このため、いびき音は開口に伴い高周波数域の雑音成分が増加すると考えられた。また閉口のうえでの努力性鼻呼吸が上気道狭窄を誘発するものでは、鼻内が狭小化している上に、咽頭軟性組織が脆弱であることから、吸気時の上咽頭から中咽頭への気流速度が増加した場合、上気道を構成する咽頭軟性組織への強い圧変化が生じ、いびきの原因となる粘膜振動を発生する可能性を考えた。このため、閉口鼻呼吸時のいびき音は鼻口呼吸併用時と比較して、音圧の高い重低音となる可能性が示唆された。しかし、これらの理由だけでは説明が困難な例もあり、現在流体解析の結果と鼻呼吸時および口呼吸時の上気道閉塞部位といびきの音響特性との関連につき継続して検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
流体解析を導入した事により、安静時の3次元CTデータといびき音の音響解析結果の照合が進んでおり、低侵襲な世界基準となる上気道閉塞部位診断にむけて、おおむね順調な進行がみられている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度および今年度の結果から、呼吸様式の相違が上気道形態に及ぼす影響には、いくつかのパターンが存在する可能性が示唆された。開口口呼吸が上気道形態を狭小化するもの、閉口のうえでの努力性鼻呼吸が上気道狭窄を誘発するもの、覚醒時の呼吸様式では上気道狭窄の変化が予想しにくいものの3パターンを推定した。この推論に基づき、流体解析シミュレーションによる上気道評価法をより詳細に行い 、覚醒時CT結果と呼吸様式から上気道閉塞部位を類推し、睡眠中の狭窄部位を確認する。当初の計画では睡眠中のCTを行う予定であったが、検査数に限界がある事から、睡眠中の気道形態をCTに代わり確認する方法として、咽頭食道内圧センサーを用いた睡眠中の気道内圧変化で確認する予定とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの成果の一部を投稿するとともに、世界耳鼻咽喉科学会シンポジウムで講演する予定であり、英文校正料、旅費、 学会参加費にも使用する予定である。
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