研究課題/領域番号 |
23592531
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 寅彦 九州大学, 大学病院, 講師 (00284505)
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研究分担者 |
安松 隆治 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (00444787)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 化学予防 |
研究概要 |
癌の化学予防(chemoprevention)とは薬剤やビタミン剤を積極的に内服することにより癌のプログレッションを抑制、再分化に向かわせ、癌の発症を予防することである。頭頸部扁平上皮癌は、連続した管腔臓器内の粘膜上皮が喫煙、過剰飲酒を主とした発癌要因に繰り返し、広範囲に暴露される(フィールド癌化:field cancerization)ことにより遺伝子変異の蓄積が起こることで、正常上皮→前癌病変→上皮内癌→浸潤癌へと進行(イニシエーション、プロモーション、プログレッション)してゆくという概念(多段階発癌)が確立している。この過程を停止、逆行させることが癌の化学予防の目的である。 本研究は頭頸部癌の化学予防に対するレチノイン酸、カテキン(EGCG)の効果を動物モデル(ハムスター口腔モデル)を用いて解析することが目的である。シリアンハムスターの頬粘膜(頬袋)に7,12-dimethylbenz[a]anthracene(DMBA)(2回/週X20週~)を塗布することで癌のprogressionハムスター口腔(Hamster buccal pouch)モデルの作成に成功した。発癌は肉眼的、病理学的に確認できているが、前癌病変(異型性)はまだ確認できていない。DMBAの曝露期間を細かく調整する必要がある。このモデルハムスターにレチノイン酸(13-cis RA, ATRA)を投与することによる発がん抑制実験を現在行っており、肉眼病理、組織病理学的な抑制効果が確認でき次第、分子生物学的解析を行う予定である。動物モデルの作成ならびに検証に時間を要するため、予定よりも研究の進行は遅れている。今後は動物個体数を増やして実験を進めてゆく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度はハムスターを用いた動物モデルの確立を行った。シリアンハムスターの頬粘膜(頬袋)に7,12-dimethylbenz[a]anthracene(DMBA)(2回/週X20週~)を塗布することで癌のprogressionハムスター口腔(Hamster buccal pouch)モデルの作成に成功した。発癌は肉眼的、病理学的に確認できているが、前癌病変(異型性)はまだ確認できていない。DMBAの曝露期間を細かく調整する必要があると思われる。上記モデルハムスターにレチノイン酸(13-cis RA, ATRA)を投与することによる発がん抑制実験は進行中である。動物モデルの作成/確認に時間を要したためDMBA発癌に対するレチノイン酸の抑制効果を、分子生物学的指標を用いて検討するには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続きハムスター口腔モデルを用いてレチノイン酸による化学予防モデルの作成を中心に行う。さらにカテキンであるEGCGの効果の検証も行う。動物モデルの作成ならびに検証に時間を要するため、動物個体数を増やして実験を進めてゆく予定である。肉眼病理、組織病理学的な抑制効果が確認でき次第、予定していた分子生物学的指標を用いた抑制効果検討:EGFR, p53, cyclinD1の発現の検討を免疫組織化学的な手法を用いて行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物モデル作成に必要なハムスター、試薬の購入が中心となる。病理組織解析のための作業(包埋、パラフィンブロック作製)は引き続き外注にて行う。成果発表のための旅費にも研究費を充てる予定である。
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