研究課題/領域番号 |
23592535
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
鈴木 幹男 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00226557)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ウイルス / 遺伝子 / 癌 / 臨床 / 放射線 |
研究概要 |
予定どおり,200例の頭頸部癌組織の解析,正常コントロール対照から80例の血液採取・DNA抽出をおこなった。1)生活習慣に関する遺伝子多型:全血からDNAを抽出し,アルコール代謝に関連する遺伝子,喫煙による発癌に関連する遺伝子を解析中である。現在まで下咽頭癌80例を解析できた。さらに正常コントロールの解析を進めており,24年度にはある程度の結果を得ることができる見込みである。2)HPVウイルス感染 2-1)腫瘍内HPVウイルスの同定:中咽頭癌の50%で陽性であり,他部位も15%-35%で陽性であった。またウイルスはHPV-16が85%を占めた。2-2,2-3,2-4)ウイルスコピー数,integration状態,E6mRNA発現:中咽頭癌で著明にウイルスコピーが上昇していた。他部位では喉頭癌でウイルス量が高い症例がみられた。E2/E6の比ではいずれの部位でも75%前後のintegrationがみられた。mRNA発現は中咽頭癌の50%,喉頭癌の25%,口腔癌の10%に見られた。ウイルス検出,コピー数,integration,mRNA発現については国際誌に投稿しin pressの状態である。Integration siteに関してはAPOTシステムでは充分解析できなかったため,DISPシステムに変更して検討中である。3)腫瘍の生物学的活性腫瘍組織からcDNAを作成をおこなった。現在免疫染色を随時行っている。4)臨床症例の治療経過の検討:症例プロフィールを性,年齢,TNM分類,腫瘍分化度,飲酒量,喫煙量,同時性・異時性の重複癌発生,3年粗生存率をファイル化し集積を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HPVウイルス感染の詳細については,integration siteを除き,ほぼ解析を終了し,国際誌にacceptされた。さらに生存率とのHPVウイルスの寄与について,投稿中である。生活習慣に関連する遺伝子多型は,約300例のサンプルを集積することができており,解析を進めている。次年度中にある程度の結果がでると予測される。腫瘍の生物学的活性の測定においてはcDNA作成,PETデータの集積は完了している。次年度からPCRによる解析,免疫染色の検討を行う予定である。臨床症例の蓄積は随時予後調査を行い(年2回),データの蓄積を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1)生活習慣による遺伝子多型:解析したデータを統計ソフトにより解析し,発症リスク,予後に寄与する因子を求める。2)HPVウイルス感染:integration siteの解析,P16免疫染色ができていないため,次年度に行う。3)腫瘍の生物学的活性:RT-PCRにてHIF-1α,GLUT 1の遺伝子発現,免疫染色をおこなう。4)臨床症例の治療経過:これまで通り蓄積をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は,試薬の消耗品を中心として支出する予定である。現在,特に新たな機器の購入は計画していない。
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