研究課題/領域番号 |
23592536
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
多田 靖宏 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70363760)
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研究分担者 |
竹澤 俊明 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (50301297)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 再生医療 / 気道上皮 / ビトリゲル / コラーゲン |
研究概要 |
Bi-potential collagen scaffold (BPCS)を用いた移植実験を行った。1.気管欠損モデルの作製と気管再建方法の確立:ウサギに対しネンブタール静脈投与による麻酔下に頸部気管を露出させる。電気メスにて気管前壁を非管状に切除し、4×10mmのサイズに開窓する。BPCSのビトリゲルを重層した側を内腔面に向け、パッチ状に気管欠損部に被覆し縫合固定する。縫合後閉創する。この一連の操作を繰り返し安定して行えるように習得すした。2.移植する際に付加するビトリゲルの適切な種類と量の確認:BPCS作製工程のビトリゲルの原材料としてウシ由来のコラーゲンを用いているが、安全性の問題などから他の種類のコラーゲンでの作製を検討し、組織学的評価をおこない最終的に移植操作上有利な条件を確立した。方法は、ウサギの背部に4カ所切開を加え、ブタ由来アテロコラーゲン4.2mgとウシ由来ネイティブコラーゲン2.1mgと4.2mgからそれぞれ作製した人工気管を広背筋筋膜にビトリゲル層が接する向きで移植した。その結果、ブタアテロコラーゲン由来の人工気管は、7日ではビトリゲル層に好中球の進入があるものの、線維芽細胞の進入はまばらであった。14日ではビトリゲル層はほぼ消失しており、ほとんどが自己の線維芽細胞に置換されていた。ウシネイティブコラーゲン由来の人工気管は、7日ではほとんど細胞進入が見られず、14日ではビトリゲル層はほぼ残存しており、自己の線維芽細胞の侵入は一部のみであった。この結果より、移植した際の人工気管は、ウシネイティブコラーゲン由来と比較して、ブタアテロコラーゲン由来のものの方が早期に吸収される可能性が示唆された。これまでの基礎研究の結果より、ブタ由来アテロコラーゲンが有効と判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災による影響で動物実験が行えない時期があったため
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に行えなかったウサギの気管欠損モデルに対するBPCSの移植実験を完了する。その上で摘出した喉頭気管に対するin-vivoの評価を行う。組織学的評価としては、通常の光学顕微鏡のほか、蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、走査型電子顕微鏡を用いて各実験モデルについて経時的に組織を観察・評価する。観察項目としては、上皮化の有無(H-E染色)、上皮細胞の形態(H-E染色)、上皮細胞の形質-サイトケラチン、オクルディンなど(蛍光免疫染色)、線毛の有無(H-E染色、走査電顕)、杯細胞の有無(H-E染色、PAS染色)、基底膜形成の有無-ラミニン(蛍光免疫染色)、上皮下組織の変化(H-E染色)、上皮下組織中の血管新生の有無(H-E染色、蛍光免疫染色)、ビトリゲルの状態(H-E染色)を想定している。24年度の研究計画にあるNeo-BPCSの作製は、23年度にブタ由来のアテロコラーゲンより作製する方針としたためすでに結果がでている状況である。
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次年度の研究費の使用計画 |
移植実験のための使用動物の購入費、移植実験のための器具購入費、研究成果報告や情報収集目的の学会参加旅費など
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