研究課題/領域番号 |
23592545
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
荒木 幸仁 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (70317220)
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研究分担者 |
塩谷 彰浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (80215946)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝子治療 / 反回神経麻痺 / 喉頭気管狭窄 / 気管狭窄動物モデル / LISW法 / センダイウイルスベクター |
研究概要 |
反回神経麻痺における神経保護・再生や喉頭気管狭窄における気道上皮再生を目的とし、ドラッグデリバリーシステムとして、遺伝子治療の応用の可能性を検討した。治療遺伝子を導入し、治療効果を観察することを目的としており、第一段階としてレポーター遺伝子での導入効率などの検討を行った。まずウイルスを用いず安全性の高いLISW(pulsed laser-induced stress waves)法を用い、同じ頭頸部の顔面筋へのLISWを用いた遺伝子導入を試み、レポーター遺伝子(Lac-Z)を搭載するプラスミドのラット顔面筋への注入による遺伝子の発現を経時的に確認した。特にJET-PEIを遺伝子導入時に併用することで、より効率の良い遺伝子導入が可能であることを確認した。また組織損傷はごく軽度であり、臨床への応用性と安全性の高い遺伝子導入技術であると考えられた。続いて遺伝子導入法として、安全かつ気道への導入効率が良いとされるセンダイウイルスベクター(SeV)を用いた遺伝子導入の検討を行った。ベクターの注入または簡便で非侵襲的な噴霧による喉頭・気管上皮へのレポーター遺伝子導入を検討した。特に簡便な噴霧法が導入効率に優れており、粘膜上皮のみでなく声帯粘膜下での遺伝子導入も確認した。また遺伝子発現は喉頭・気管ともに14日以上継続することを確認し、今後の治療遺伝子による治療効果を期待できる結果であった。さらに今後の治療効果を検討するため、新たなラット気管喉頭狭窄モデルを作成し、数日後には平均狭窄度60-70%という安定したモデルを確立した。そのうえで、SeVによる狭窄モデルへの遺伝子導入効率を検討し、その有用性・安全性を確認した。これらの研究成果は今後治療遺伝子を用いた気管喉頭狭窄への新たな治療法開発へとつながる基礎データとなり、今後の治療遺伝子を用いた治療効果検討への発展が期待できる結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度として、まず喉頭気管への遺伝子導入の検討を行った。結果として良好な遺伝子導入を行うことが可能でることが示せた。この結果より今後治療遺伝子を用いた治療効果判定実験へと発展させることが可能である。また安定した新たな喉頭気管狭窄動物モデルを確立した。すでに治療遺伝子としての新たな有力な候補を見出しており、新たな動物モデルを用いた喉頭気管狭窄治療実験を行うことが可能である。次年度以降治療効果についての検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
レポーター遺伝子の効果的な導入を示せたことより、今後は治療遺伝子による治療効果検討へと進める。その際に必要な動物モデルについても安定したモデルを確立した。治療遺伝子についてはすでに瘢痕形成抑制へ効果の期待できる有力な因子を見出しており、その遺伝子を搭載したセンダイウイルスベクターもすでに作成済みである。そこでまずは喉頭気管狭窄への治療効果についての検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に従事できる時間が十分でないため、研究助手を雇用し研究をさらに推進させる。(人件費 1,600,000円)また必要な動物やベクター、試薬等の購入(物品費 300,000円)、研究成果の発表(旅費 300,000円)などに用いる予定である。
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