研究概要 |
本研究計画では、VEGF選択的スプライシングに関与するSR protein kinase(SRPK)に着目し、その特異的阻害剤SR protein phosphorylation inhibitor (SRPIN)340に脈絡膜新生血管(CNV)形成を抑制する効果があるかについて検討をおこなっている。平成24年度および25年度においてそれぞれ、SRPIN340にはCNV形成抑制効果があること、ならびにCNV形成に関与する分子群、すなわち血管内皮増殖因子vascular endothelial growth factor (VEGF), 白血球接着分子intercellular adhesion molecule (ICAM)-1, 単球走化因子monocyte chemoattractant protein (MCP)-1などの発現抑制効果があることを明らかとした。しかしながら、SRPK阻害によって増加するとされる血管新生抑制型アイソフォームVEGF164bの検出には至らなかった。 前年度までの結果を受けて、SRPIN340投与により血管新生抑制型アイソフォームVEGF164bが増加するかどうかを詳細に検討したが、mRNAレベルおよび蛋白レベルのいずれにおいても同アイソフォームを確認することはできなかった。以上の結果から、SRPIN340によるCNV形成の抑制メカニズムは、炎症関連分子VEGF, ICAM-1, MCP-1の発現を抑制すること、またその結果としてマクロファージ浸潤を抑制することを介していると考えられた。 上記検討結果を今年度molecular vision誌(査読あり)に投稿し、論文として公表した。
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