研究課題/領域番号 |
23592548
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
新明 康弘 北海道大学, 大学病院, 助教 (00374398)
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研究分担者 |
北市 伸義 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (40431366)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 細胞・組織 |
研究概要 |
緑内障の病態としては、網膜神経節細胞がアポトーシスを起こすことで、徐々に視野が欠損してやがては失明へ至ると考えられている。しかしながら、その詳しいメカニズムは不明のままである。現在の臨床治療は、眼圧を低下させることで緑内障の進行を抑制することを目的としているが、正常眼圧緑内障の中には、眼圧が充分低いにもかかわらず、症状が進行していくものが含まれる。そのため今後は直接的に網膜神経節細胞のアポトーシスを抑制する治療の開発が期待されている。 熱ショック蛋白質(heat shock protein:HSP)は熱などのストレスによって発現が誘導される分子シャペロンであり、構造変化を来した異常蛋白の形状を元に戻し、その凝集を阻害するのみならず、プロテアソームにおける変異蛋白の分解を促進することで、抗アポトーシス効果を示すと考えられている。 ゲラニルゲラニルアセトン(Geranylgeranylacetone:GGA)は生体において傷害やストレスを与えることなく、HSPのうちHSP70を誘導し、胃粘膜に対する防御作用を増強する薬剤として開発された。その細胞保護効果は脳虚血モデルなどにおいて神経細胞に対しても有効であることが、示されている。 本研究では、グルタミン酸レセプターの機能不全によって網膜神経節細胞死を起こす緑内障モデル動物において、GGAの網膜神経節細胞保護効果を明らかにし、新たな緑内障治療の可能性を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物の移送に関する事務手続きに思ったより時間をとられたことと、GLASTノックアウトマウスでは、メスに授乳行動の異常が生じやすいため、繁殖の難易度が高いことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
授乳行動異常がないヘテロのノックアウトマウスの雌を中心に繁殖することで繁殖の課題は解消されてきている。投与実験そのものは順調に進行しているので、このまま実験を継続し、Nを増やしていく予定である。 さらに緑内障モデル動物の眼内においても実際にHSP70を介した神経保護作用が働いているのか、生化学的・免疫学的手法を用いて確認していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物の飼育コストや病理標本作成、免疫染色の抗体、酸化ストレスマーカーの測定キットの購入。または研究成果の発表のために国内外の学会への交通費。東京の共同研究者との打ち合わせのための交通費も必要である。なお平成23年度の実験計画に遅れが生じているため、予定よりも試薬などの購入が、少なくなっているが、その分平成24年度に購入額が増える予定である。
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