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2012 年度 実施状況報告書

ゲラニルゲラニルアセトンによる正常眼圧緑内障モデル動物の網膜神経節細胞死抑制

研究課題

研究課題/領域番号 23592548
研究機関北海道大学

研究代表者

新明 康弘  北海道大学, 大学病院, 助教 (00374398)

研究分担者 北市 伸義  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (40431366)
キーワード国際情報交換
研究概要

グルタミン酸トランスポーターの1つglutamate/aspartate transporter (GLAST)の機能異常をもつ遺伝子欠損マウスでは、慢性のグルタミン酸濃度上昇による、網膜神経節細胞死が誘導されることが明らかにされている(Harada T et al. J Clin Invest. 2007)。この動物は人間の正常眼圧緑内障のモデルの1つとして注目されている。
生後3週齢のGLASTノックアウトマウスに対して、ゲラニルゲラニルアセトン(GGA)を体重あたり100, 300, 600 mg/kg/dayの経口投与を14日間続けて行った。そのうえで眼球を摘出し、HE染色した網膜切片を用いて網膜神経節細胞のカウントを行い評価した。
GLAST(+/-)マウスでは、GGA投与群において非投与群に比較して、網膜細胞死が抑制されることが分かった。その網膜細胞死の抑制効果には、容量依存性がみられている。
さらに、この作用機序を明らかにするため、網膜の酸化ストレスについて調べたところ、GGA投与群では非投与群に比較して、酸化ストレスが下がっていることが確認できた。またGGAによって誘導されることが分かっている熱ショック蛋白(HSP)について、網膜切片のの免疫染色を行い発現を調べると、GGA投与群では実際に網膜内でHSPが発現していることを確認した。
GGAを経口投与することで、網膜内でHSPの発現を介して、網膜組織の酸化ストレスを軽減し、慢性的に起きる網膜神経節細胞死を抑制することができた。このことは、正常眼圧緑内障に対して、胃潰瘍治療薬として臨床応用が進んでいるGGAが、内服する抗緑内障薬として作用する可能性を示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度の薬剤投与実験は順調に進んでいるが、昨年度に動物の繁殖がうまくいかない時期があり、その分だけ進行が遅れている。今年度だけでは、昨年度の分の遅れを完全に取り戻すには至っていない。しかし、有効なデータはすでに出てきているので、来年度中には予定通り、実験が終了するものと思われる。

今後の研究の推進方策

GGA投与によって、GLAST(+/-)マウスにおいて網膜神経節細胞死が、抑制されることが分かった。さらに細胞死について、多方面から観察するため、マウス上丘から蛍光標識を行い、逆行性染色による網膜神経節細胞の数をフラットマウントでも観察する。同時に投与するマウスのnも増やす予定である。
次の段階としてアポトーシスが実際に抑制されているかみるため、Tunel染色を行う。さらにカスパーゼ3やカスパーゼ9が実際に減少しているか、定量的にみていき、GGAの投与量との依存性をみていく。誘導させるHSPの発現についてもRT-PCRを用いて定量的に解析を行う予定である。可能であれば、GLAST(-/-)マウスについても同様の検討を行いたいが、繁殖に技術的困難があるため、現状ではそこまでは難しいかもしれない。
GLAST(+/-)マウスの投与データについて、次年度に学会発表を行い、その成果を論文にまとめる予定である。

次年度の研究費の使用計画

マウスの繁殖維持の費用、分子生物学的試薬の購入。病理標本の外注。学会参加への旅費や論文の英文校正の費用に使用する予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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