研究概要 |
研究の目的は、「自然発症高眼圧Vav遺伝子欠損マウスによる、非侵襲的に眼圧依存性網膜神経節細胞(RGC)障害を評価できるin vivoのマウスの系の構築」である。そのため、Vav2遺伝子欠損(Vav2)マウスとVav2,3遺伝子欠損(Vav2,3)マウスが、眼圧負荷とRGC障害の関係を評価する系として有用であるか、蛍光色素CFPをRGCに発現させた遺伝子改変マウスCFP/Vav2,3マウスとCFP/Vav2マウスを作製して、その可能性を検討した。この2系統のマウスのうちCFP/Vav2に関しては作製とその結果の概要が得られた。CFP/Vav2,3に関しては作製が終わり現在そのデータを解析中である。方法としては、マウスの日中の眼圧を8週令から2週間毎にマイクロニードル法にて4回測定し、その後15週令に眼球を摘出し4%PFAで固定後、網膜フラットマウント標本を作製する。網膜フラットマウント標本は、下方、鼻側、上方、耳側の4方向と、それぞれを中心部、中間部、周辺部の3部位で区切り、計12カ所に分割して蛍光顕微鏡下で一定面積の各RGC数を計測した。RGCへの眼圧負荷の指標として、眼圧×日数である(mmHg×day )を計算して評価に使用した。CFP/Vav2についての結果を報告する。CFP/Vav2はRGC障害の定量的評価が可能であり、Vav2マウスでは15週令にてRGC密度の減少があった。RGC障害には局在のパターンが認められ、網膜鼻側と下方部位で有意であった。RGC障害と眼圧の負荷の間には負荷の集積につれて障害の増加傾向があった。 この結果については、平成26年4月5日の日本眼科学会にて報告し、また5月5日に米国のオランドで開催される,ARVO ( Association for Research in Vision and Ophthalmology) 学会にて発表予定である。また、内容を論文にて報告するため現在作製中である。
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