FocalSealを用いた網膜剥離手術の有効性,安全性の検討を行った. 有色家兎に全身麻酔をかけ,23ゲージ経結膜硝子体手術を行った.硝子体手術の手順は以下の通り; ①角膜輪部より1mm後方で3portを作成,②硝子体カッターにて水晶体切除,硝子体切除を行う.③視神経乳頭より下方2乳頭径の位置でバクフラッシュニードルを用いて網膜裂孔を作成.④網膜裂孔より網膜下に人工房水を注入し,実験的網膜剥離を作成.⑤液体-空気置換により網膜を復位させる.家兎を2群にわけ,1群の右眼にFocalSealを塗布し,60秒の光照射を行って網膜裂孔を閉鎖して空気-液体置換をして手術を終了した.もう1群の右眼は液体-空気置換により網膜復位させた後に手術を終了した.術前後で経時的に手持ち細隙灯顕微鏡での前眼部観察と単眼倒像鏡と網膜光干渉計による眼底観察を行った. FocalSealを用いない群では術後全ての眼が網膜剥離が再発し,増殖硝子体網膜症へと進展した.FocalSealを用いて裂孔閉鎖を確認した群では,一部の家兎眼では網膜光干渉計にて網膜剥離の再発が認めない所見を得られたが,全ての家兎眼で再発しなかったわけではないこと,そして一部の家兎では散瞳の不良,角膜混濁などの合併症により,眼底を観察することができず,実験は完全には成功していない.今後,手術手技の改良(手術中に虹彩を切除する,眼内灌流液を冷却する)を重ねて実験を成功させたいと考えている. これらの一連の研究成果は2014年の日本眼科学会総会,The Association for Research in Vision and Ophthalmologyで発表し,2014年の日本臨床眼科学会でも発表予定である.
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