研究課題/領域番号 |
23592558
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
久保 江理 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10262619)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | トロポミオシン / 白内障 / 上皮間葉系移行 / 水晶体上皮細胞 / マイクロRNA |
研究概要 |
トロポミオシン(Tm)は、細胞骨格蛋白であり水晶体の分化や酸化ストレスとの関与が示唆される注目すべき遺伝子である。ラット水晶体上皮細胞(RLEC)におけるTm発現制御の影響を観察するために、RLECのGFP- Tm1αとGFP-Tm2βの過剰発現(遺伝子導入)を行った。Tm1αとTm2βの過剰発現により、細胞が伸長し線維芽細胞様の形態変化を呈した。さらに上皮間葉系移行のマーカーであるα平滑筋アクチン(αSMA)の発現が上昇した。つまりTmの発現は、RLECの上皮間葉系移行を促進する。また、RLECは、通常の状態ではTmの発現は微量である。培養RLEC、2.0-6.0ng/mlTGF-βと20.0-60.0n/ml FGF1を培養液に添加すると、細胞分化を誘導し、Tm発現およびαSMAが上昇した。RLECのTm発現をTm2βsiRNAにて抑制し、4.0ng/mlTGF-βと40.0ng/ml FGF1を投与するとTm発現が抑制されるために、αSMAの発現も抑制された。つまり、RLECの上皮間葉系移行は、Tmの発現亢進によるものであることが示唆される。miR29c mimics (Tmを抑制制御するmiRNA)のトランスフェクションにより、Tm発現が抑制されることは確認できたため、現在上皮間葉系移行について研究を進行中である。。 白内障手術時に破棄される前嚢試料(LEC付き)を用い、ひとLECにおけるTm発現の変化を解析した。水晶体前極部の異常な細胞分化を呈する前嚢下白内障では、Tm2βの発現が有意に上昇していた。強い核白内障(LOCS III分類 NO5, NC5以上)でも、有意にTm2βの発現が亢進していた。ひと白内障におけるLECの上皮間葉系移行、白内障変化にもTmの発現上昇が関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とする実験計画は概ね、実行できている。
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今後の研究の推進方策 |
現在トランスジェニックマウスは準備中である。Tmが白内障発症に関与することを証明し、microRNAなどを用いたTmの発現制御による白内障抑制を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
トロポミオシントランスジェニックマウス作成に使用する。マウス購入、試薬購入に使用予定である。眼球より水晶体摘出に必要な実体顕微鏡の購入にも使用する予定である。
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