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2012 年度 実施状況報告書

白内障発症におけるトロポミオシン遺伝子の役割と白内障予防に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23592558
研究機関金沢医科大学

研究代表者

久保 江理  金沢医科大学, 医学部, 教授 (10262619)

キーワードトロポミオシン / 後発白内障 / FGF2 / TGFβ2
研究概要

後発白内障(PCO)の発症に関与する、FGF2とTGFβ2によるトロポミオシン(Tpm1α/2β)の発現変化を、水晶体上皮細胞(LEC)を用いて検討した。通常ではTpm1α/2βの発現が少ない培養マウスLEC(MLEC)とTpm1α/2βの発現が高いペルオキシレドキシン6ノックアウト(Prdx6-/-)MLEC,ヒト不死化LECを使用した。TGFβ2、TGFβ2+FGF2、FGF2含有培地でMLECまたはPrdx6-/- MLECを培養した。プロテインブロット法とリアルタイムPCR 法でTpmと上皮間葉系移行(EMT)マーカーであるα平滑筋アクチン(αSMA)の発現量を測定した。また、形態変化を位相差顕微鏡で撮影した。ラットPCOモデルを作成し、Tpm、FGF2、FGF-R2の局在変化を免疫組織化学染色により観察した。結果:TGFβ2含有培地培養後、2,4日目にTpm1α/2βとαSMAの発現が上昇した。しかしTGFβ2+FGF2含有培地およびbFGF 含有培地培養では2,4日目には、Tpm1α/2βとαSMAの発現が有意に抑制された。TGFβ2 10ng/ml+FGF2 10ng/mL添加培地で培養すると、Tpm1α/2β発現が有意に抑制されると同時に細胞増殖能が有意に低下した。ラットPCOモデルでは、FGF発現が高い赤道部再生水晶体上皮部位で、トロポミオシン発現は減少していた。結論:PCOにおいて、誘導されるTpm1α/2β発現上昇とそれに伴うEMTをbFGFが抑制している可能性が示唆される。PCO発症メカニズム、治療にはTGFβ-Tpmが関与するEMTの制御とFGF2との相互作用も念頭におく必要がある。またTpm発現制御により、ヒトPCO抑制効果が期待される。
現在Tpm1αと2βの、ダブルノックアウトマウスをデザインし作成中であるが、約2年半かかる見込みである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ラットPCOモデルを確立し、これまでの研究の成果も英文論文にて発表した。ノックアウトマウス作成も進行中である。

今後の研究の推進方策

今後は、ラットPCOモデルを用い、Tpm発現を抑制する可能性があるTAT-Prdx6点眼、FGF抑制剤投与による予防効果を検討する。
FGFとTGFβ2によるERK, Aktシグナル伝達経路を関するTpm発現制御機構を、培養細胞を用いて解明する。
また、ノックアウトマウス作成を継続して行なっていく予定である。ただし、ダブルノックアウトマウスの作成予定としたため、作成終了予定が来年度以降にならざるをえないことは、仕方がないことである。

次年度の研究費の使用計画

ラットPCOモデル作成、ノックアウトマウスのための動物関連費用、研究用試薬に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Elevated tropomyosin expression is associated with epithelial-mesenchymal transition of lens epithelial cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Kubo E, Hasanova N, Fatma N, Sasaki H, Singh DP.
    • 雑誌名

      Journal of Cellular and Molecular Medicine

      巻: 17 ページ: 212-221

    • DOI

      doi: 10.1111/j.1582-4934.2012.01654.x.

    • 査読あり
  • [学会発表] FGF2 Antagonizes the TGFβ2-Induced Aberrant Expression of Tropomyosin and α-Smooth Muscle Actin in Mouse and Human Lens Epithelial Cells and Has a Role in Posterior Capsule Opacity2013

    • 著者名/発表者名
      Eri Kubo
    • 学会等名
      ARVO 2013 Annual Meeting
    • 発表場所
      シアトル
    • 年月日
      20130505-20130509
  • [学会発表] 後発白内障モデルを用いた薬物治療の可能性2013

    • 著者名/発表者名
      久保江理
    • 学会等名
      第117回日本眼科学会総会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
    • 年月日
      20130404-20130407
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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