研究課題/領域番号 |
23592562
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
蓑島 伸生 浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 教授 (90181966)
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研究分担者 |
大石 健太郎 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 助教 (80345826)
大坪 正史 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 助教 (10327653)
イスメール サンシーム 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (60569846)
堀田 喜裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90173608)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 開放隅角緑内障 / コピー数多型 / ゲノムワイド解析 / CNV / マイクロアレイ / 欠失 |
研究概要 |
日本人の原発性開放隅角緑内障(POAG)発症におけるコピー数多型(CNV)の関与を調べるために、以下のように研究を遂行した。既に収集していた緑内障69家系(患者数163)を精査し、複数の緑内障患者を含む14家系を選定した。ほとんどの患者はPOAGを呈したが、ごく一部は正常眼圧緑内障(NTG)であった。患者と同胞を含めて30個体を解析対象とした。CNV解析には、180万種のDNAマーカーを搭載したゲノムワイドヒトSNP Nsp/Sty 6.0アレイ(Affymetrix社)を用いた。同アレイのDNAマーカーは906,600の1塩基多型(SNPs)と946,000のプローブからなり、CNVを鋭敏に検出可能である。末梢血からQIAamp DNA Blood Maxiキットを用いてDNAを抽出し、上記マイクロアレイのメーカーのプロトコルに沿って、濃度50ng/μlに調製した。250ngのDNAをNsp I および Sty Iで個別に消化し、それぞれの消化物に特異的なアダプターをDNAリガーゼで連結した。アダプター上の塩基配列に対応するプライマーを用いてDNAを増幅した。増幅産物の長さが200~1100塩基対になるように条件を設定した。それぞれの制限酵素消化による最終PCR産物を混合してDNaseIで断片化し、末端をビオチン標識してから、マイクロアレイにハイブリダイゼーションした。標識ビオチンにフィコエリスリン標識ストレプトアビジンを結合させ、各マーカーへのDNAのハイブリダイゼーションを定量した。現在、上記の諸ステップを30検体について順次進めている。全検体のハイブリダイゼーション実験の完了後、CNV用のソフトウェアを用いて解析を行う計画である。ソフトウェアとしては、Affymetrix社の供給する標準的システムに加えて、ペンシルバニア大学のPennCNVも用いる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の2点の理由により、研究はほぼ順調と自己評価した。(1)研究開始前に検体収集の完了していた69家系(患者163名)のうち、より有意な結果が期待できる大きな家系14家系全部について解析を開始できたこと(2)CNV解析用として有効なソフトウェアを検討していたが、他プロジェクトによりペンシルバニア大学のPennCVが良好な結果を与えることが判明し、本研究にも同ソフトウェアを使うことが決定できたこと
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今後の研究の推進方策 |
予定どおり、研究を継続する。すなわち、14家系、30検体すべてのゲノムワイドマイクロアレイ実験を完了し、ソフトウェアによる解析を行って、個々の家系内の患者に存在するが非発症者には存在しないCNVを探索する。それが検出できない場合は、複数のCNVの特定の組み合わせが患者には存在するが、非発症者には存在しない等、複数の要素による発症の組み合わせも想定して解析を行う。発症に関連するCNVが判明したら、その領域内の遺伝子を調べて、その機能、該当家系の患者での欠失・増幅の状態等から、発症関連遺伝子候補を限定する。特に患者での欠失が見られた場合は、該当家系以外の患者も含めて、当該候補遺伝子の変異解析を試行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マイクロアレイ関連物品、PCR用のプライマー、PCRキット等を購入して実験を継続する。
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