研究課題/領域番号 |
23592562
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
蓑島 伸生 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90181966)
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研究分担者 |
大石 健太郎 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 助教 (80345826)
大坪 正史 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 助教 (10327653)
イスメール サンシーム 浜松医科大学, 医学部, 研究員 (60569846)
堀田 喜裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90173608)
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キーワード | 開放隅角緑内障 / コピー数多型 / ゲノムワイド解析 / CNV / マイクロアレイ / 欠失 / 正常眼圧緑内障 / 高眼圧症 |
研究概要 |
日本人の原発性開放隅角緑内障(POAG)発症におけるコピー数多型(CNV)の関与を調べるために、昨年度選定した14家系30個体のうち、DNAの品質等を考慮して13家系、23個体のDNA検体について、ゲノムワイドヒトSNP Nsp/Sty 6.0アレイ(Affymetrix社)を用いた実験を遂行した。得られた実験データーをAffymetrix社の供給する標準的システム、及びペンシルバニア大学のPennCNVソフトウェアを用いて解析した。23検体のうち22検体は、データー品質値(QC Call Rate)96.16~99.11を示し、その後の解析の信頼性に問題はないと判断した。以下に、今回の解析対象で最大の1家系についての解析結果を示す。発症者6名中3名(それぞれPOAG、正常眼圧緑内障(NTG)、高眼圧症)で共通にPARK2遺伝子の片側アレルに全く同じ1,872 bpの欠失が見られた。残り3名の発症者(2名はPOAG、1名はNTG)、及び同家系内の非発症者3名には同PARK2欠失は見られなかった。さらに、同家系では、2名の患者でDISC1遺伝子領域に10~14 kbp、別の2名の患者でINST4L1遺伝子領域に470~513 kbpの欠失が片側アレルに検出された。これらの欠失も、同家系内の非発症者には見られなかった。1名の患者は、これら3座位を全て欠失していたが、別の1名の患者はPARK2とDISC1をともに欠失していた。INST4L1のみ、及びPARK2のみを欠失している患者も各1名見られた。現在、定量PCR等を用いて、これらの欠失の確認を行うとともに、欠失遺伝子と疾患との関連の考察を進めている。また、他の家系についても解析を継続しており、全発症者検体と非発症対照者検体(本研究とは別に収集済み)によるケース・コントロールスタディ解析も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の理由により、研究はほぼ順調と自己評価した。 (1)実際に23検体についてマイクロアレイ解析を遂行し、22検体について良好なハイブリダイゼーションが得られたこと。 (2)解析対象の中で最大の1家系から、患者で見られ、同家系内の非発症者で見られない遺伝子欠失が3箇所以上見つかっていること。 (3)他の検体も含めて、本研究で収集したのとは別の非発症対照者検体とのケース・コントロールスタディ解析を新たに計画したこと。
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今後の研究の推進方策 |
予定どおり、研究を継続する。すなわち、全収集検体についてゲノムワイドマイクロアレイ実験を完了し、家系内のCNV多型-発症関連解析を行い、患者に存在するが非発症者には存在しないCNVを探索する。さらに、本研究とは別に収集した非発症正常対照者検体と、本研究の全発症者検体を用いたケース・コントロールスタディにより、CNV多型-発症関連解析を行う。発症と有意な相関を示すCNVについては、その領域内の遺伝子を調べて、その機能、該当家系の患者での欠失・増幅の状態等から、発症関連遺伝子候補を限定する。特に患者での欠失が見られた場合は、該当家系以外の患者も含めて、当該候補遺伝子の変異解析を試行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マイクロアレイ関連物品、PCR用のプライマー、PCRキット等を追加購入して実験を継続する。
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