研究概要 |
ツニカマイシン存在下に培養網膜色素上皮細胞を培養し、培養液中のVEGFなどのサイトカイン、細胞ライセート中のGRP78などの小胞体ストレスマーカーの検出を行った。GRP78, CHOP, procaspase 4の発現増加と、活性型であるcleaved caspase12の増加がみられ、小胞体ストレスが検出可能であることわかった。VEGF, TNFα, IL, PDGFなどのサイトカインについてはクオンシス社のQ-Plex ELISAアレイを用いて検討したが、ばらつきが大きく、キットを変更して再度検討する予定である。またマウスレーザー脈絡膜新生血管(CNV)モデルを作成し、治療効果判定のための予備実験を行った。レーザーによるブルッフ膜穿孔後に0.5 ugの抗VEGF抗体(Ab)またはPBSを硝子体腔に注入し、7日後に眼球を摘出、固定後にレクチン染色にて血管内皮細胞を染色した。脈絡膜フラットマウントを作成し、共焦点顕微鏡により、CNVの容積と再大面積を測定した。CNVの容積はAb群は319992.8±42093.1 um3、PBS群は478718.6±55642.4 um3であった。CNVの最大面積はAb群で33716.5±4763.13 um2、PBS群で44998.8±3403.3 um2 であり、両者の間に有意な差が検出できた(それぞれp=0.034、0.043;Mann Whitney U test)。また、CNVの容積と最大面積の間にはAb群、PBS群いずれにおいても相関関係があった(それぞれp<0.001, =0.85、p=0.013, =0.85, =0.59;Spearman rank correlation coefficient)。これによりCNV実験の手技が確立し、来年度以降に本実験を行う予定である。
|