研究課題/領域番号 |
23592563
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加地 秀 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30345904)
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研究分担者 |
寺崎 浩子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40207478)
近藤 峰生 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80303642)
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キーワード | 小胞体ストレス / 網膜色素上皮 / 網膜 / RPE / 血管内皮増殖因子 / VEGF / 脈絡膜新生血管 / CNV |
研究概要 |
小胞体ストレスを抑制することによって、脈絡膜新生血管(CNV)の発症を予防することが可能かどうか調べる目的で、レーザーによるマウスCNVモデルを作成した。薬剤群12匹、コントロール群11匹の両眼にそれぞれ3発ずつレーザーを照射した。レーザー照射日から照射1週間後まで薬剤群には4-フェニル酪酸(PBA)を、コントロール群にはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一日一回マウスにガバージ針を用いて内服投与した。レーザー照射1週間後に、マウスの心臓よりフルオレセイン造影を行い、眼球を摘出した。これら眼球の脈絡膜フラットマウントを作成し、蛍光顕微鏡下にCNVを作成し、ソフトウェア(SCIONイメージ)を用いてサイズの計測(相対値)を行った。眼球内の3つのCNVサイズの平均を1眼の平均CNVサイズとし薬剤群24眼、コントロール群22眼の平均サイズを計算した。薬剤投与群の平均CNVサイズは37497+3409、コントロール群のそれは43398+6569であったが、両群の間に有意差はなかった。(P=0.86; マンホイットニーUテスト) ヒト加齢黄斑変性(AMD)眼をNational Disease Research Interchangeより入手予定であったが、入手できなかったため、入手先をSanDiego Eyebankに変更し、一眼を入手したが、眼底検査を行ったところ萎縮型の黄斑変性であった。これについては固定、凍結、切片作成を行い、-80度で保存している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AMD患者からのCNV抜去の頻度は減少しており、今回サンプルを入手することはできなかった。また、National Eisease Research InterchangeからAMD眼の入手ができなかったため、入手先をSanDiego Eyebankに変更し、AMD1眼を入手した。この眼は萎縮型AMDであったが、引き続きAMD眼が入手できた際は連絡をもらえるようにしてある。 このことから、25年度に実施予定であったレーザーCNVモデルマウスの実験を前倒しで行った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きヒトサンプルを入手し、小胞体ストレスの存在を証明すべく、手配を続ける。また、それが入手できない間の方策として、後眼部にアミロイドβの沈着を起こすモデルマウスを用いて、実験、検討を行う。具体的には血管内皮細胞に存在するCaveolin1のノックアウトマウスは脳にアミロイドβの沈着を起こすことが報告されている。すでにこのマウスを用いた実験について、組み換えDNA実験計画は名古屋大学の安全委員会の、動物実験計画については医学系研究科長の承認を得、Jackson Labに発注済みである。 また、視細胞特異的にCaveolin1をノックアウトしたマウスを所有する海外の施設がある。そこから入手した眼球を用いて、変性など視細胞の形態変化の有無を調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実際の研究に必要な物品は消耗品であり、当初の申請通りのけ入被配分で研究費を使用していく計画である。
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