研究課題/領域番号 |
23592566
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
生野 恭司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50294096)
|
研究分担者 |
谷山 義明 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60372611)
五味 文 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (80335364)
|
キーワード | ペリオスチン / 脈絡膜新生血管 |
研究概要 |
野生型マウスを全身麻酔の上、レーザー照射にて脈絡膜新生血管(CNV)を発生する、病的モデルの作成に成功した。レーザーの後、時期を変化させたうえで、脈絡膜のペリオスチン濃度をバリアント別にPCR法にて測定した。PCR法は、温度や時間、各バリアントに対するプライマの設定を予備実験として行い、ペリオスチン1から4までの各バリアントを個別に測定できる系を確立した。 レーザー後3日目以降、全てのペリオスチンvariantで、発現の上昇を認めた。また、バリアント毎の上昇の程度を比較した場合、ペリオスチン4が最も多く、次にペリオスチン1と3がほぼ同程度、ペリオスチン2は少量の増加であった。一方、レーザーの程度とペリオスチン発現上昇の関係を、レーザー1眼あたり10発と20発で検討した。この場合は、20発施行した群のほうが、ペリオスチン濃度の上昇がおおきかった。 人サンプルについては、順調に回収に成功しており今後、前房水におけるペリオスチン濃度と採取した結膜テノンにおける線維芽細胞に対してPCRを行い、RNAの発現量を検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、予定していた脈絡膜新生血管モデルの作成に成功し、ある程度の試行錯誤が予測されたPCR法の設定も終了した。こうして得られた系で、ペリオスチンmRNAの上昇も確認した。これらは今後、本研究を遂行する上で、十分な予備実験が終了し、本実験に移行することが可能であることを示唆するものである。レーザーにおける適正数もある程度明らかになってきた。もっとも困難と考えられていた動物モデルの確立が成功したこと、バリアント別のPCR法も十分機能的に作動していることから、現時点では、十分に稼働していると考えられ、計画の速度も特に問題があるとは考えられない。 また、本年度はいよいよヒトにおける眼前房水ならびに結膜でのペリオスチン発現量の検討を行う予定であるが、サンプルも順調に回収しつつあり、検討を行うに十分な症例数を集められる見込みである。本年は、ELISA法の細部設定などの予備実験が残っているが、これについては、短期間に調整可能と考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、確立した動物もモデルを用い、野生型とペリオスチンKOマウスにおけるCNVの形成の程度について検討する。また、この実験でペリオスチンKOマウスにおけるCNVの抑制が見られた場合、可能であれば、抗ペリオスチン抗体による実験的CNV抑制を試みる予定である。 さらに、谷山研究室の助力を乞い、人眼におけるペリオスチン濃度の測定ならびに発現量の検討に踏み切る予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては、本年度に行った実験的CNV作成の確認と、網脈絡膜におけるペリオスチン発現を時系列でさらに詳細に検討する予定である。また、ペリオスチンKOマウスに対するレーザー誘導CNVも行う予定であるため、これら動物購入費、飼育代が必要である。またPCRやELISA法施行に伴う試薬代なども必要となる。さらに、CNVの領域は近年治療方法、特に新しい薬剤治療法の開発競争が著しい。情報収集のためには、学会への参加も必要であり、その旅費も必要となる。
|