研究概要 |
生後8週のマウス(C57BL6)にレーザーで、実験的脈絡膜新生血管(CNV)を誘導し、0,1,3,5,7 日目の眼球を摘出し、網膜と脈絡膜に分離し、ペリオスチンとTumor necrotic factor (TNF-) αをのmRNAレベルを検討するためにPolymerase Chain Reaction (PCR)を施行した。その結果、TNFαはday 1で網膜、脈絡膜ともに高値を認め、炎症反応を確認し、これは既知の実験結果と矛盾しなかった。ペリオスチンは網膜ではday0から7までほぼ変わらなかったが、脈絡膜においてはday3より上昇を認めday7まで上昇を続けた。このようにペリオスチンは、実験的CNVの誘導により、脈絡膜において特異的にペリオスチンmRNAの発現の上昇が見られる。 次にペリオスチンの各バリアント毎にPCRを行った。すなわち前回と同様の施術により、実験的CNVを誘導し、マウスの脈絡膜サンプルからペリオスチン1~4のバリアント別にPCRを施行した。サンプルはCNV誘導後、0,1,3,5,7, 14, 21, 28 日目に摘出し、ペリオスチン各バリアントのmRNAにおける経時的な変化を観察することを試みた。その結果、ペリオスチンバリアント1と3は、14日目にまで、順次増加し、ピークを迎え、そこから減少してゆくことを確認した。ペリオスチンバリアント2と4のmRNAレベルは、施術後急激に増加して、3日目にピークを迎え、そこから漸減した。また倍量のレーザーをしたものはバリアントによって多少の差はあるが、約2倍のmRNAを発現した。このようにペリオスチンの発現パターンはバリアントにより異なる。 これらの結果から、実験的CNVにおいて、ペリオスチンはその発症に関連しておりかつ、その役割はバリアントによって異なるものと推察された。
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