研究課題/領域番号 |
23592570
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
大平 明弘 島根大学, 医学部, 教授 (00169054)
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研究分担者 |
谷戸 正樹 島根大学, 医学部, 講師 (30284037)
海津 幸子 島根大学, 医学部, 助教 (00325052)
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350)
奥野 勉 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 人間工学・リスク管理研究グループ, 部長 (90332395)
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キーワード | 酸化ストレス / 網膜光障害 / MTH1 / OGG1 / MUTHY |
研究概要 |
散瞳した麻酔下のマウスに350-385nmの紫外光を網膜表面の照射エネルギーが75J/cm2となるように照射した。照射は左眼に対して行い、右目は照射中閉瞼させ未照射(対照)眼とした。網膜機能を評価するため、照射後1週間眼に網膜電図(ERG)を測定した。また、眼球を摘出してパラフィン切片を作製、HE染色を行い、外顆粒層(ONL)の厚さを計測(視神経から100μm、以降500μmごとに4ヵ所、上下合計10ヵ所)して組織の構造変化を評価した。 野生型マウス(C57BL6)と比較して、OGG1(8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ)遺伝子欠損マウスとOGG1/MTH1(酸化プリンヌクレオシド三リン酸分解酵素)遺伝子二重欠損マウスでは網膜に同程度の障害が観察され、顕著な網膜光障害の抑制は見られなかった。一方、MUTYH(アデニン/2-ヒドロキシアデニンDNA グリコシラーゼ)遺伝子欠損マウスではERGとONL厚の両方で有意に障害の抑制が認められた。しかし、OGG1/MUTYH遺伝子二重欠損マウスでは抑制が認められなかった。 MUTYH遺伝子の単独欠損では障害が抑制されていたが、OGG1遺伝子との二重欠損では障害が抑制されなかった事から、光障害の発生機序においてはMUTYHとOGG1が別の経路で作用しており、MUTYHが関与する経路が、光による網膜光障害の発生機序において重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では5000ルクス、6~10時間の光照射で網膜障害が生じると予想していたが、この条件では障害が起きなかったため、新たな条件の検討に時間が必要となった。最終的に可視光ではなく、350~385nmの紫外線を網膜表面におけるエネルギー量が75J/cm2となるように照射することで障害を評価するのに最も適した障害が生じることが解った。 その後、ノックアウトマウスを用いて実験を行っているが、遺伝子の二重欠損マウスの産出が予定通りに行かなかったため、実験がやや遅れ気味となっている。
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今後の研究の推進方策 |
まだ検討していないMTH1単独欠損マウスの網膜光障害モデルの作製・観察と網膜光障害抑制に重要な役割を果たしているMUTYH遺伝子について、残りのMTH1/MUTYH二重欠損マウスについても光障害モデルの作製・観察を行う。 MUTYHが関与していると考えられる障害経路について、ミトコンドリアDNAに着目して研究を行う
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次年度の研究費の使用計画 |
実験で使用する予定のノックアウトマウスが生体保存されておらず、凍結保存されている受精卵を移植する方法で作成しているため予定通りにマウスが生まれないなど、マウスの供給が予定通りに進んでいない。このため、平成23年度より、マウスの維持・管理に使用する予定であった金額が未使用で残っている。平成25年度は残りの遺伝子欠損マウス(特に二重欠損マウス)の作成・維持に使用する予定である。 また、ミトコンドリアDNAとの関連について調べるため、研究費は抗体やプローブなどの購入に使用する予定である。
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