研究課題/領域番号 |
23592575
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安田 美穂(宮崎美穂) 九州大学, 大学病院, 助教 (00336033)
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研究分担者 |
石橋 達朗 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30150428)
清原 裕 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80161602)
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キーワード | 疫学研究 / 久山町研究 / 加齢黄斑変性 / 近視性黄斑変性 / 糖尿病網膜症 / 網膜静脈閉塞症 |
研究概要 |
平成23~24年度の計画では、15年間におよぶ九州大学久山町研究での眼科健診データを個々の内科健診データおよび食事や運動習慣などの生活習慣データ、遺伝子解析から得られた遺伝子データ、剖検から得られた剖検データと合わせてデータベース化し解析できるようにするのが目標であったが、当初の予定どおり、得られたデータはすべて安全に保存され解析できるための専用コンピュータをおき、得られた情報はデータベース化してコンピュータに保存し高度なセキュリティー管理下におき、解析可能な状態とした。 さらに眼科の失明につながる重要ないくつかの疾患について、危険因子、防御因子の解析をおこなった。具体的には加齢黄斑変性を病型別に危険因子を解析し、滲出型の加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症はともに喫煙、加齢が危険因子であることがわかった。また、近視性黄斑変性についても病型別の頻度と危険因子を解析し、眼軸長、屈折値が近視性黄斑変性発症の重要な危険因子であることを解明した。また糖尿病網膜症は体内の抗酸化物質であるビリルビンにより血糖値とは独立して発症が予防され、運動習慣も糖尿病網膜症の発症予防に効果的であることがわかった。さらに、血圧値の上昇、血糖値の上昇、喫煙習慣はそれぞれ網膜厚の菲薄化に関連しており、眼底疾患発症に影響与えることも解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、平成24年度までにデータベースを構築し失明につながるいくつかの眼底疾患について危険因子、防御因子の解析を行う予定であり、当初の予定どおり、加齢黄斑変性、近視性黄斑変性、糖尿病網膜症などの眼底疾患について危険因子、防御因子を明らかにすることができが。
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今後の研究の推進方策 |
今後もさらに多くの眼疾患と全身疾患および環境要因との関係を多次元的に解析し、リスクレベルに応じて疾患を予防するための基本原理を見いだす予定である。 くわえて疾患と生活習慣および環境要因だけでなく遺伝的因子との関係も多次元的に解析し、とりわけリスクレベルの高い危険因子を選択することで予防効果が着実な予防 対策を立案する。 また、設定したコホート集団に対する追跡調査を引き続き行う。データの精度を上げるため、高い追跡率を目指して質の高い臨床データを蓄積し、さらなるデータベースを構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では、主に下記のような研究費が必要と予測される。 1.眼科健診を実施するための費用およびそれに伴う眼科検査機器のレンタル使用料 2.検査を行うための人件費、データベース作成のためのデータ整理に伴う人件費 3.解析を行うための、コンピュータおよびそれに関連した消耗品の費用 4.結果を公表するための学会参加費用、英文雑誌への投稿費用
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