研究概要 |
一般住民健診に基づく前向きコホート研究を行うことによって、わが国の視覚障害および失明の主原因となっている糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、緑内障、高度近視、網膜静脈閉塞症などの眼科疾患の発症に関わる危険因子、防御因子を包括的な健診成績の中より明ら かにするとともに、疾患と環境要因、遺伝子要因との関係を系統的に解析し、より効果的・定量的な予防法を構築し、久山町住民のみならず、国民全体の視力低下・失明の予防に有用なエビデンスを提供することを目的として研究を開始した。約15年間にわたり3,000人以上におよぶ久山町住民を追跡し収集した眼科の臨床データを個々の内科健診データおよび食事や運動習慣などの生活習慣データ、遺伝子解析から得られた遺伝子データ、剖検から得られた剖検データと合わせてデータベース化し、眼科疾患の危険因子・防御因子の解析をおこなった。大型計算機システムによる大規模多変量統計解析を行うことで、眼疾患と全身疾よび環境要因との関係を多次元的に解析し、リスクレベルに応じて疾患を予防するための因子を明らかにするとともに、疾患と生活習慣および環境要因だけでなく遺伝的因子との関係も多次元的に解析し、とりわけリスクレベルの高い危険因子を選択することで予防効果が着実な予防策を立案した。
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