網膜剥離は治療成績が向上したが、現在でも改善の余地がある。本研究では、網膜接着剤の開発を目的とし、細菌由来トランスグルタミナーゼ(mTG)を用い、家兎眼による実験的網膜剥離モデルにおいて、網膜被覆効果を検討した。手術後1週以上、混合液が網膜上に残存し、網膜裂孔を被覆していた。網膜剥離は全て復位した。眼科用粘弾性物質を用い、同様の検討を行ったところ網膜は復位し、粘弾性物質は速やかに吸収除去された。さらに硬性内視鏡を用いた眼底観察法による臨床応用を行った。無水晶体眼、眼内レンズ挿入眼では鋸状縁部までの眼底観察が可能であることがわかり、先天性隅角形成異常患者の隅角観察にも有用であることがわかった。
|