研究概要 |
平成25年度にC57Bl/6Jマウスを用いてOxygen-Induced Retinopathy (OIR)モデルを作成するシステム樹立が完了した。OIRモデルは、生後7日目のマウスを5日間75%O2の高酸素下にいれ、生後12日にRoom Air下に戻し、生後17日に眼球を摘出する方法をとった。(Smith LE, et al. Oxygen-induced retinopathy in the mouse. Invest Ophthalmol Vis Sci. 1994; 35 :101-11.) まず、OIRモデルが網膜虚血を来しているかを確認するために、VEGFの発現をELISAで、またIsolectin B4で染色した網膜フラットマウントで、網膜の虚血範囲(vaso-obliteration) (VO %)および網膜新生血管(retinal tuft)を作成した。正常マウスでは、OIRモデルでは網膜虚血は認められなかったが、OIRモデルでは11.17±1.05%の網膜虚血を認めた。またVEGFは、生後10日、12日ではRoom Air下のマウスにくらべ、有意に抑制されており、生後14、17日には有意に増加していた(p<0.05)。また免疫染色では、VEGFは、網膜内層の血管内皮細胞および内境界膜を越えて硝子体内に伸展している網膜新生血管内皮細胞に著明に発現していた。また細胞周期(G0)を検出するKi67染色を行ったところ、VEGFと同様の部位にKi67陽性細胞の出現を認め、血管内皮細胞の旺盛な増殖があると推測できた。平成23年度、24年度で得られた結果を元に、ショートパルスレーザ―では照射数を増やして、糖尿病網膜症に対する治療を行ったところ、後ろ向き研究であるが、従来の凝固法と有意な差は認められなかった。またOIRは、ヒト未熟児網膜症のモデルであるが、Stage 3, zone 2 (plus disease)の症例に対して、ショートパルスレーザ―を用いて治療を行った。当研究で得られた結果をもとに、照射数を従来より増やして施行したところ、網膜症の沈静化が得られた。
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