研究課題/領域番号 |
23592585
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
木村 桂 岩手医科大学, 医学部, 講師 (10364358)
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研究分担者 |
齋野 朝幸 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (40305991)
佐藤 洋一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40118253)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | プロテアーゼ活性化型受容体 / 涙腺 / カルシウムシグナリング / 涙液分泌機構 / カルシウム流入機構 |
研究概要 |
Protease-activated receptor(PAR)は、特定のプロテアーゼによって特異的に活性化される三量体G タンパクと共役した7回膜貫通型受容体である。PARは生体内各組織に広く分布しており、とりわけ体性神経系におけるPAR-2は炎症時の疼痛の情報伝達に関与すると言われてる。そこで、涙腺からの涙液分泌にPARが関係しないか検討を加えた。RT-PCRでPARの存在を確認したところ、PAR-2の存在のみ確認された。PAR-1,3,4の生体アゴニストであるトロンビン刺激で反応を認めず、PAR-2の生体アゴニストであるトリプシンで [Ca2+]iの増加を認めた。この結果はRT-PCRと一致した。また、PAR-2アゴニストの合成ペプチドであるSLIGRL-NH2(PAR2-AP)投与にても同様の結果となった。この上昇は、細胞外のCa2+除去によっても消失せず、Gd3+存在下でも同様の結果であった。PLC抑制剤のU73122投与によっても [Ca2+]iの増加は抑制されず、細胞内ストアを枯渇させるthapsigargin前投与によって、PAR-2APによる [Ca2+]i上昇は抑制された。細胞外からのCa2+流入について検討したところ、NOのdonorであるGEA3162の投与によって、このCa2+流入は増強した。以上のことから、PAR-2は細胞内ストアを刺激して[Ca2+]iの上昇を引き起こし、続くCa2+濃度の上昇は、従来報告されているcapacitative calcium entry (CCE)ではなく、non-capacitative calcium entry (NCCE) による可能性が高い。引き続き実験を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
毎週ほぼきちんと計画通りに実験しており、順調に成果が出ている。今まで報告のないPAR2刺激後のカルシウムイオン流入機構について有用な結果を得ている。木村が所用で実験不可能な場合、大学院生の及川誠が代償して実験を行っており、今のところ進行に問題はない。おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今のところ受容体刺激後に誘発される細胞外からのCa2+流入機構がnon-capacitative calcium entry (NCCE)と考えられるが、まだ完全な結果とは言いがたい。よって、この点をもっとより深く検証していく。また、形態学的にきちんとした分泌が起こっているか電子顕微鏡を含めた検証も行っていく必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の形態学的検証を含め、大部分を引き続きカルシウムイメージングに関わる費用(特にPAR-2APが非常に高価)に研究費を使用していく。また、得られた結果を学会で発表する予定となっており、その旅行費用も計上したい。
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