研究課題/領域番号 |
23592588
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
篠田 肇 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30306766)
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研究分担者 |
小澤 洋子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90265885)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 網膜 / 生活習慣病 / 肥満 / 糖尿病 |
研究概要 |
生活習慣病は今や社会的な問題であり、失明原因の上位を占める糖尿病網膜症・加齢黄斑変性など、眼科領域でも注目される疾患を含む。生活習慣病の危険因子に肥満・高脂肪食があるが、その網膜疾患との関連は、まだあまり知られていない。そこで、本研究では、マウスに高脂肪食を摂取させ網膜への影響を、分子レベルで解析している。我々は生後5週齢のマウスを購入し、高脂肪含有となるよう調合された餌を購入し、毎日摂取させ、体重、血糖等の全身状態を確認した。既報によれば、高脂肪食を摂取したマウスは摂取開始後早期から体重が増加するというが、我々も少なくとも2か月時点で明らかな肥満を認めることを確認した。また、高脂肪食を摂取させたマウスとコントロールマウスの網膜を採取し、各種炎症性サイトカインの発現を解析中である。この解析にはPCRを用いたmRNAレベルの解析とELISAやイムノブロット法を用いたタンパクレベルの解析の両方を含めている。解析するサイトカインの種類に関しては、これまでストレプトゾトシン誘導糖尿病モデルマウス等において行ってきた、我々の研究室の実績をもとに行っており、一部に有意差のあるサイトカインを見出している。今後は検索する分子をなるべく多くすることと、その生物学的意義を解析することとする。解析方法としては、網膜電図による視機能測定や組織学的解析、分子生物学的解析等を予定している。本研究の成果は最終的に眼生活習慣病の病態解明に役立つ情報をもたらす。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は高脂肪食を継続的に摂取させたときの網膜病変を解析するものであり、少なくとも2か月以上の摂取が必要だと考えていることから、一回の実験のスパンが長いのが特徴である。しかし、我々は既に複数回の実験を行っており、全体としては順調に進んでいると考えている。得られた結果は、当初予測したものと合致しており、最終的な研究の達成(成功)を予感させるものである。
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今後の研究の推進方策 |
我々は既に、2か月間の高脂肪食摂取で、少なくとも分子レベルでは網膜内に変化を生じていることを解析済みである。そこで、今後は免疫組織学的解析を交えて分子レベルでの解析をさらに進める予定である。また、最終的には網膜電図で測定する視機能解析も行う予定である。具体的には、少なくとも2か月以上の高脂肪食摂取をさせたマウスとコントロールマウスの網膜切片を作成し、そこに見られる網膜組織の変化、炎症性細胞の浸潤所見、細胞死マーカーの発現等を生化学的、分子生物学的に解析する。また、解析した炎症性サイトカインの中で、中心的役割を果たしていると考えられる分子に関しては、阻害剤等で介入する研究も行う予定でいる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、予定通り、実験動物、組織学用試薬・器具類、分子生物学試薬類および網膜電図測定に必要な電極等に用いる。なお未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
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