研究概要 |
我々はこれまでに口腔粘膜上皮下組織から間葉系幹細胞に類似した細胞群を抽出しており、この細胞群には神経堤由来の細胞が含まれていることが分かってきた。この神経堤由来細胞をクローニングし、角膜実質細胞に類似した細胞へ分化誘導することで、角膜実質細胞の細胞源となりうることが考えられる。昨年度において細胞塊の選別方法としてCD56, PDGFRa陽性の細胞塊から増殖した細胞を観察し、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞への分化誘導が可能であり、さらに、神経細胞への分化誘導も行ったところ、神経細胞で発現するbeta-III-tubulinを観察することが解って来た。本年度においては角膜実質細胞への分化誘導を行なった。角膜実質細胞のコンディショニングメディウムを作成し、CD56, PDGFRaで分離・増殖した細胞の培養を行なった。今回の誘導法ではKeratocanの発現を確認することはできなかったが、角膜実質で発現するALDH3A1ならびにLumicanの発現を確認することができた。これらのことから、神経堤由来細胞で発現するCD56, PDGFRaの発現は、より分化能の高い細胞である可能性を示すとともに、これまでの報告にもあったように、神経細胞へ分化させるのに重要な因子であるとともに、角膜実質細胞への分化誘導も可能である可能性が考えられた。
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