研究課題/領域番号 |
23592593
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
亀谷 修平 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30302269)
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研究分担者 |
鈴木 友子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, その他 (00342931)
山木 邦比古 日本医科大学, 医学部, 教授 (20125751)
高橋 永幸 日本医科大学, 医学部, 助教 (10445801)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | neuromyelitis optica / α1-syntrophin |
研究概要 |
野生型とα1-syntrophin欠損マウスに対しミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白の合成ペプチドを使用して実験的自己免疫性脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelitis: EAE)を惹起させ,主にこれを免疫組織学的に解析するための準備を行なっている。野生型の眼球を摘出し、酢酸/メタノール固定または組織用迅速固定液スーパーフィックス(KURABO)を用いて固定後パラフィン包埋し、マイクロトームで薄切し6ミクロンの切片を作成する。HE染色を行い病理組織学的観察を行った。摘出した眼球のうち一部はOCTコンパウンドに包埋しクライオトームにて6ミクロンの新鮮凍結切片を作成した。作成した切片をアセトンにて固定後、1次抗体と反応させた。用いた抗体は抗AQP4抗体、抗α1-syntrophin抗体、抗MBP抗体、抗CD3抗体、抗CD20抗体、抗CD45抗体等である。抗AQP4抗体を使用した免疫染色では視神経の髄鞘に染色を認めた。抗α1-syntrophin抗体を用いた解析では、視神経の髄鞘及び視神経内に染色を認めた。野生型マウスでAQP4とα1-syntrophinは髄鞘に共局在している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記研究実績の概要で示したような、野生型マウスでの免疫組織学的な解析が可能であることを確認する必要があった。野生型マウスで視神経を損傷せずに必要十分な長さで摘出し、これを用いて免疫組織学的解析が可能な状態を確認せずに、α1-syntrophin欠損マウスの解析を行うと、貴重なノックアウトマウスの個体を無駄に消費することになるためである。また、野生型とα1-syntrophin欠損マウスに対しミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白の合成ペプチドを使用して実験的自己免疫性脳脊髄炎を起こした個体で確実に免疫染色の結果を評価できる技術レベルを確保するための準備でもあった。これらの準備は整ったので、現在実験的自己免疫性脳脊髄炎を惹起させる実験を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
α1-syntrophin欠損マウスは当大学の組み換えDNA安全委員会と動物実験委員会の両者で承認が得られたので共同研究を行う国立精神神経センター・神経研究所より入手する。実験的自己免疫性脳脊髄炎の惹起にはミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白の合成ペプチドを使用する。不完全フロインドアジュバンドおよび加熱ヒト型結核菌はDifco(Detroit, MI)より、百日咳毒素はリスト生物学研究所より入手する。週齢を一致させた野生型マウスとα1-syntrophin欠損マウスの両群にMOG;35-55感作でEAEを誘導する。IFAに100μg/mlのMOG;35-55および500μgのM. tuberculosisを加え、乳化の後に尾背部皮下に感作を行う。初回感作時および48時間後にPTを100ngずつ腹腔内投与する。 野生型とα1-syntrophin欠損マウスでのseverityの比較検討をEAE臨床症状評価を用いて行う。臨床症状評価に関しては以下のスコアを用いて感作後2-3ヶ月間評価し、観察中は同時に体重測定も行う。当研究においてはEAEを惹起させたマウスにおける、視神経の観察に主眼を起き、これについて詳細な解析を行う。これに関しては以下の方法を用いる。小動物用手持ち式眼底カメラを用いた眼底検査、RT-PCR法によるAQP4のmRNAの発現解析、病理組織科学的検査、AQP4、α1-syntrophinをはじめとした種々のターゲットに対する抗体を用いた免疫組織科学的解析などを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
RT-PCR法によるAQP4のmRNAの発現解析、病理組織科学的検査、AQP4、α1-syntrophinをはじめとした種々のターゲットに対する抗体を用いた免疫組織科学的解析などを行うため、主に分子生物学、組織化学のための消耗品、及び解析のためのコンピュータやソフトへ研究費を使用する予定である。
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