研究課題/領域番号 |
23592597
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
日下 俊次 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (60260387)
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研究分担者 |
國吉 一樹 近畿大学, 医学部, 講師 (30234470)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 未熟児網膜症 / サイトカイン / VEGF / 硝子体 / 抗VEGF治療 |
研究概要 |
未熟児網膜症は小児失明原因の第二位(柿澤敏文ら:心身障害研究, 26, 163-175, 2002)を占める重要な疾患である。未熟児網膜症は低出生体重児に伴う網膜血管発達の未熟性とそれに基づく虚血が根底にあり、そこに酸素投与等の要因が加わることで網膜新生血管が発生、重症例では牽引性網膜剥離を来たして失明に至ることが知られているが、その病態や発症に関する詳細なメカニズムについては十分に解明されたとは言い難い。現時点で未熟児網膜症に対する標準的な治療法は網膜光凝固であり、多くの施設で自然寛解が期待できない状態に至った患児に対して行われ、失明予防に大きな成果を挙げている。しかし、治療効果には限界があり、治療を適切に行っても網膜剥離の発症を防止できない重症例が存在する。また、網膜光凝固は侵襲が大きく、網脈絡膜に広範な凝固変性を生じることや、近視、斜視の発生など術後の視機能発達に悪影響を及ぼすことは否定できない。本研究ではこれらの背景を踏まえ、未熟児網膜症モデルマウスおよび未熟児網膜症の患児から採取した硝子体液を用いて未熟児網膜症の病態の分子レベルでの理解を深めること、そして未熟児網膜症に対する新しい低侵襲な治療法(薬物療法)の開発に関して未熟児網膜症モデルマウスを用いて検討する。これまで30眼の未熟児網膜症患者から硝子体液を採取し、現段階では解析を行っている所である。もう少し症例数を増やしてさらに解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで34眼から硝子体液を採取した。現在、解析(測定)を行っているところであるが、未熟児網膜症の症例のプロフィールにややばらつき(疾患の活動性、修正週数など)があり、まとまった傾向が出るか検討を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき未熟児網膜症患者の硝子体サンプル採取を勧め、症例数を増やして解析を行う予定である。また、当初の計画通り網膜光凝固を行ったにも関わらず進行を抑制できない、あるいは著明な水晶体血管膜のために網膜光凝固の施行が困難である重症未熟児網膜症に対してbevacizumab硝子体内投与を行う前後に血清中のVEGF濃度、bevacizumab濃度を測定する。bevacizumab投与が片眼、両眼に行われる症例で血清中のVEGF濃度、bevacizumab濃度にどのような影響が出るかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
硝子体サンプル解析のためのキット購入およびVEGF測定キット、その他諸々の消耗品を購入予定である。
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