研究課題
優性遺伝の、RP1L1変異のオカルト黄斑ジストロフィーについては、OCTを用いた画像解析により、変異を持つ症例に特徴的な構造変化が見られることが明らかになり、その特徴は視細胞内節および外節に発現する本遺伝子の性質を裏付けていた。弧発例の三宅病9症例全例(RP1L1 変異なし)においてフーリエドメインOCTを用いて網膜構造を調べたところ、5症例においては、RP1L1 変異のある症例に特異的な所見である、「黄斑部におけるCOSTラインの消失」および「中心窩付近におけるIS/OSラインの不明瞭化」が見られた。しかし4症例において は、RP1L1 変異のある症例とは異なるOCT所見、すなわち「IS/OSラインが中心窩においても明瞭に観察される」、あるいは、「IS/OSラインおよびCOSTラインの異常が、中心窩付近のごく狭い領域に限局的に存在する」が見られた。これらの症例を症状経過や電気生理学検査によって変異を有する症例と区別することは不可能であった。これらの所見はオカルト黄斑ジストロフィーのなかには、RP1L1変異とは全く異なる機序によって生じている例が含まれることを示唆している。とくに、平成24年度は新たな遺伝子解析により、RP1L1遺伝子以外の複数の遺伝子異常が各症例に関与している可能性が示されている。現在確認のための追加調査を行っている。今後の調査によって、原因遺伝子ごと(病態ごと)に視細胞において異なるOCT所見が見られる可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
オカルト黄斑ジストロフィーのうち、RP1L1変異を持たない症例のなかにはRP1L1変異とは全く異なる機序により網膜機能障害を来たしている症例が含まれることが本研究により明らかになり、オカルト黄斑ジストロフィーが、複数の異なる病態を含んだ疾患群であることが推察された。
オカルト黄斑ジストロフィにおいてRP1L1以外の関与が推察されたため、新たな家系調査、遺伝子検査を行い、遺伝子型とOCT所見との関連を明確にしたい。
確定診断のための画像診断、ERG用の消耗品、備品。DNA検査のための消耗品。学会発表のための参加費、旅費等。
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