研究課題/領域番号 |
23592602
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大野 重昭 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (50002382)
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研究分担者 |
石田 晋 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10245558)
南塲 研一 北海道大学, 大学病院, 講師 (70333599)
北市 伸義 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (40431366)
目黒 明 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60508802)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 難治性内因性ぶどう膜炎 / 自己抗体 / 網羅的解析 / バイオインフォマティクス解析 / バイオマーカー |
研究概要 |
本研究では自己抗体検出システム(コムギ胚芽無細胞タンパク質合成ロボット)を用いて難治性内因性ぶどう膜炎における自己抗体プロフィールの網羅的な解析・検出を行った。 研究計画に則り、現在までにベーチェット病患者2検体において、13種類のタンパク質に対する自己抗体が、コントロール群に比べ3倍以上の高値を示すことを確認した。解析に用いたベーチェット病患者2検体は眼病変主体のものと消化管病変主体のものであるが、同一のタンパク質に対して抗体が産生されていることが分かった。13種類のタンパク質のうち、2種類のタンパク質(H、J)が眼炎症患者において非常に高値を示したが、これが病勢または病型を反映しているものか、或いは個人差によるものなのかは今後検体数を増やし検討していく必要がある。他の疾患においてこれらタンパク質に対する自己抗体の産生は認められなかったため、これらがベーチェット病において特異的に産生されるものである可能性が示唆された。 23年度の結果から、本実験系における自己抗体検出システムの測定精度、実験者の手技、およびプロトコールはほぼ安定的に確立することが出来たと判断している。あわせてベーチェット病患者2検体から、新たな自己抗体の標的タンパク2種類が検出されたことから、これらのタンパク質の解析をさらに進め、今後自己抗体プロフィールの網羅的な解析を完了させることで、ぶどう膜炎特異的自己抗体を指標とした病態解析および診断技術の開発が可能になることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画初年度の目標である、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成ロボットを用いた自己抗体検出システムが、難治性内因性ぶどう膜炎における自己抗体プロフィールの網羅的な解析・検出に有効であることが示された。解析に必要な各種プロトコールがほぼ確定できた。
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今後の研究の推進方策 |
今回ベーチェット病の症例を対象に解析を行い、解析した13種類のうち眼炎症の活動性の高い患者で有意な変動があったのは2種類(タンパク質H, J)であった。今後さらに症例数を増やして解析を進めるとともに、患者の臨床症状を再度詳細に検討する。特に眼病変の有無、あるいは腸管など特殊病型の有無での自己抗体プロフィールの網羅的な解析を行う。病理標本のある例では病理組織像との関連も検討する。最終的にはぶどう膜炎特異的自己抗体を指標とした病態解析、活動性の評価、予後判定、および診断技術の開発につなげたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度研究開始当初は検索予定の患者、健常対照者からの同意取得数が比較的少なく、検討症例数が減少したため、消耗品費、薬品費の使用が計画より減少した。24年度は検索対象症例、疾患対照者、および健常対照者が増加する予定であり、その検索のためにこの研究費が使用される予定である。
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