研究課題
研究実施計画に則り研究を遂行し、本実験系における自己抗体検出システムの測定精度、実験者の手技、およびプロトコールはほぼ安定的に確立することが出来たと判断している。ベーチェット病患者2症例から、新たな自己抗体の標的タンパク13種類が検出された。コントロールに比べ3倍~20倍の値を示した。他のぶどう膜炎疾患においてこれら自己抗体の産生は認められなかったため、これらがベーチェット病において特異的に産生されるものである可能性がある。検体は眼病変主体のものと消化管病変主体のものであるが、上記13種タンパク質に対して同様に抗体が産生されていることが分かった。今後さらに検討していく予定である。24年度には予想外の新たな発見もあった。癌関連網膜症の一種であるBilateral diffuse uveal melanocytic proliferation (BDUMP)の一症例についても検討したところ、2種類のタンパクに対しコントロールと比較し数百倍といった自己抗体の存在が明らかとなった。しかもこれは卵巣の明細胞癌に起因する網膜症症例であった。現在他の明細胞癌患者検体を収集しており、発見した自己抗体が明細胞癌はなくBDUMPに特異的に出現してくる抗体であることを今後調べていく予定である。25年度はこれら13種類と2種類のタンパク質の解析をさらに進め、自己抗体プロフィールの網羅的な解析を完了させることで、ぶどう膜炎特異的自己抗体を指標とした病態解析および診断技術の開発が可能になることが期待される。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ研究実施計画通りに進行し、内因性ぶどう膜炎の標的タンパク候補が13種類検出できた。一方、癌関連網膜症症例から、当初予想していなかった、健常者の数百倍の値を示すタンパクを2種類新たに見いだした。本年度はこの2種類も合わせて詳細に検討する予定である。
今年度はこれらタンパク質の解析をさらに進め、今後自己抗体プロフィールの網羅的な解析を完了させることで、ぶどう膜炎特異的自己抗体を指標とした病態解析および診断技術の開発が可能になることが期待される。
25年度は検索対象症例、疾患対照者、および健常対照者がさらに増加する予定であり、研究費は計画通り使用される予定である。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 11件)
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