研究概要 |
ベルテポルフィン内包リポソームの作成の条件検討を行った。ベルテポルフィンの溶解性に関して、凍結乾燥法による内包の程度を3種類(10, 5, 1 mg/ml)の濃度で検討した。その結果、限外濾過後の平均粒子径が200nmの均一な分布を示す5mg/mlの濃度を至適濃度と決定した。実際に作成したリポソームにレーザーを照射し破壊実験を行った。ベルテポルフィンは、いくつかの吸収波長をもち、532nm(緑)、561nm(黄)、659nm(赤)とヒトの加齢黄斑変性に対する光線力学療法で使用される698nm(赤外)の4種類で行った。その結果、吸収の強い532nmと698nmで崩壊を認めた。実際に確かめたのは粒子径の分布であり、レーザー光により破壊されたと予想される残骸が凝集した結果、Z-averageが増加することをみただけである可能性が考えられた。この可能性を否定するために、シスプラチン(CDDP)を同時に内包させて破壊実験を行った。532nmと698nmの波長でレーザー照射を行い、破壊され粒子径が凝集により増加することを確認したうえで、限外濾過を行い濾液中にCDDPが放出されていることを確認した。実際のベルテポルフィン内包リポソームを正常マウスに投与し急性毒性試験を行い薬物投与が生体に及ぼす影響に関して解析した。リポソームの投与量は100, 200, 400 mg/Kgの3条件で行った。その結果、赤血球・白血球数に異常を認めず、AST, ALT, ALP, BUNなどの酵素に異常を認めなかった。これらのリポソームは最終的には細網内皮系で捕捉され分解されると考えられるが、投与1カ月後の臓器重量を、心臓・肺・肝臓・腎臓・脾臓で調べたところ、200 mg/Kgと400 mg/Kgの投与群において脾臓において臓器の増加が認められた。。
|