研究課題
シスプラチン内包光感受性リポソームに関して、シスプラチン単独投与では、細胞毒性を発揮する濃度でもリポソームに内包すれば高濃度の薬物内包量でも細胞毒性を示さないことが明らかとなった。シスプラチン内包光感受性リポソームと大腸癌の培養細胞株であるColon26細胞を用いて、光照射により放出されたシスプラチンの癌細胞増殖抑制効果を調べた。その結果、光照射なしでは、シスプラチンが放出されずColon26細胞の増殖抑制効果がなかったが、光照射群では強い細胞抑制効果が得られた。さらに、in vivoにおける癌細胞抑制効果の解析を引きつづいて行った。Balb/c Slc-nu/nuの6週齢雌マウスにColon26細胞を移植し担癌マウスモデルを作成した。0日目(colon26細胞移植後7日目)と7日目にCDDP内包リポソームを尾静脈投与した。レーザー照射はリポソーム投与6時間後、3、4、5、6、7、10、11日後に1分間照射した。腫瘍体積を測定して内包薬物による抑制効果を解析した結果、リポソーム非投与群およびレーザー非照射群では腫瘍体積の減少がみられなかったのに対して、リポソーム投与群では経時的に腫瘍増殖抑制効果が認められ、さらにレーザー照射で抑制効果の増強が認められた。同時に、投与マウスの体重を解析したが、優位な体重減少は認められなかった。一連の解析により、シスプラチン内包ベルテポルフィンリポソームは、光照射に応じて内容薬物を放出し、効率よく癌細胞の増殖抑制効果を発揮し、副作用を軽減したドラッグデリバリーシステムとしての担体となりうる可能性が示唆された。
すべて 2013
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